「旅する♡拓本」
八幡市松花堂美術館
2021年7月1日(木)~8月15日(日)
前期:7月1日(木)~7月25日(日)
後期:7月27日(火)~8月15日(日)
石や金属に刻まれた文字や文様を、紙と墨で写し取ること、また写し取ったものを「拓本」と呼びます。
その拓本の世界を旅するような気分で楽しむことのできる展覧会を八幡市松花堂美術館で開催中です。
本展は「コロナ禍で旅行の楽しみが失われてしまった今、展覧会を通して旅する気持ちを感じてほしい」と企画されました。
会場内には、京都在住の拓本家・表装家の薮田夏秋さんの協力による国内から海外まで約45点の拓本作品が並びます。
「清水寺 石燈籠・岸駒虎」
京都・清水寺山門下にある石燈籠に彫られた岸駒作の虎を写し取った作品。
現在、実物の石燈籠では彫られた絵は見にくくなってしまっているそうですが、 拓本として写し取ることで図柄がはっきりと蘇ります。
見過ごしてしまうような存在に気付くことができるのも、拓本の魅力のひとつです。
チリやタイ、パキスタンの遺跡の拓本作品の数々
日本だけでなく、さまざまな国の遺跡等から写し取られた拓本作品も数多く並びます。
日本とは違う異国の雰囲気を味わうことができます。
本展では “表装”にも注目してみてください。
さまざまな工夫を凝らした表装を行うことで、目にも華やかな作品となっています。
拓本家としてだけではなく表装家としても活動する薮田さんは、
「ただ写し取るだけじゃなく表装して飾って楽しむことでいろんな人に見てもらえる。
史料としての側面が強い拓本だけど、拓本のアートとしての価値も見てほしい」と語ります。
「不二ひとつ‥蕪村」※
7月25日(日)まで展示
長野県下諏訪の水月公園内の与謝蕪村の歌碑の拓本。
扇面状の縁取りに合わせて、扇が散らされた表装となっています。
大小さまざまな扇が楽しいリズムを生み出しています。
「キリマンジャロ コーヒー豆」
中にはこんな作品も。
「ちょっとでも凹凸があれば何でも拓本にできる」という薮田さん、 キリマンジャロ産のコーヒー豆とその袋を拓本にしたそうです。
「宇智川磨崖仏」
奈良県五條市の宇智川の岸壁に刻まれた奈良時代の磨崖碑の拓本には、夕焼けをイメージした特殊なもみ紙で表装を仕立てました。
拓本はその土地に直接赴いて、実際に手で触れながら時間をかけて写し取るのでその時の気候や光景が、強く思い出に残るそうです。
是非この機会に、長い長い歴史や遠い異国の地を写し取り、はたまた身近な新たな発見にも気づくことの出来る「拓本」の世界への旅をお楽しみください。
ミュージアムショップでは本展の小冊子を販売中です。
展示の記念に是非。1冊400円(税込)。
7月2日には薮田夏秋さんによるみどころ解説「拓本に恋して」も開催されました。
展覧会の見どころや作品の思い出を紹介したのち、最後には薮田さんのコレクションを参加者のみなさんで囲んで鑑賞しました。
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