【ことしるべ美術クラブ スタッフおすすめのアートスポットVol.172】山本茜展 ―截金ガラス創造10年の軌跡―

【ことしるべ美術クラブ スタッフおすすめのアートスポットVol.172】山本茜展 ―截金ガラス創造10年の軌跡―

そごう横浜店で截金(きりかね)作家・山本茜氏の個展が開催されます。


山本茜展
―截金ガラス創造10年の軌跡―

ライフワークである源氏物語シリーズの新作をはじめ、 珠玉の作品を展覧

■会期■
 2021 年5月25日(火)~31日(月) ※最終日は午後4時閉場
■会場■
そごう横浜店6階=美術画廊
■お問い合わせ■
045(465)5506(美術画廊直通)

透明なガラスの中に浮遊するかのように截金を封じ込める「截金ガラス」。独創的かつ斬
新で繊細なこの技法を創り出し、作家活動をはじめ 今年で10年の節目の年となります。
この10年の間に山本氏は、日本伝統工芸展 NHK 会長賞をはじめ 、数多くの賞を受賞。2019年
には大英博物館 (イギリス・ロンドン )に買上収蔵されるなど国内外で高い評価を受けて
います。本展ではライフワークである源氏物語シリーズの新作をはじめ、 精魂こめて制作
された珠玉の作品 (約30点) を展覧。ぜひご覧ください。

 

◇技法について◇

◇截金とは◇

截金(きりかね)とは、金箔を数枚焼き合わせて厚みをもたせたものを、細い線状または三角、四角などに切り、筆先に取って糊で貼りながら文様を描いていく技法です。その歴史は古く、紀元前3世紀のオリエント発祥と言われています。截金の技術はシルクロードをはるばる旅して、6世紀に仏教とともに日本に伝わり、主に仏画・仏像の装飾に用いられました。この技術は日本固有の工芸として現在まで連綿と受け継がれています。

◇截金ガラスとは◇

截金ガラスは、電気炉でキャスト(型に流し込んで成型)したガラスの塊に截金を施し、その上にさらにガラスを重ねて再び電気炉にて融着し、その後、接合した塊を削り出し、磨き上げてつくります。窯の温度が不適切であると、せっかく施した截金が歪んだり溶けたりし、また、焼成したガラスの塊は時間をかけて徐々に冷やさないと割れてしまいます。それを避けるための緻密な温度管理をコンピュータ制御された窯で行っています。截金ガラスは、伝統的な技と現代の科学技術の両方があってこそ可能な表現なのです。

山本茜氏のホームページより引用https://akane-glass.com/message/

 


【展示作品】(一部)

源氏物語シリーズ 第三帖「空蟬」
サイズ:幅44.0×高さ19.0×奥行24.0㎝

 

源氏物語シリーズ 第四十五帖「橋姫」
サイズ:幅49.5×高さ11.3×奥行10.8㎝

 

山本茜 略歴
1977年 石川県金沢市生まれ
1999年 独学で截金を始め、 2000 年から人間国宝の江里佐代子氏に教わる
2001年 京都市立芸術大学日本画専攻卒業
2011年 富山ガラス造形研究所卒業 京都市に個人工房を設立
2014年 第 61 回日本伝統工芸展 NHK 会長賞受賞
2015年 伝統文化ポーラ賞奨励賞受賞
2020年 第 33 回京都美術文化賞受賞
パブリックコレクション 宮内庁、大英博物館、富山市ガラス美術館など
現在 日本工芸会正会員