美飾會
陶芸作家・川瀬理央氏や田中悠氏らが出品するグループ展がギャラリーなかむらで開催中です。
会場に伺い、川瀬氏と田中氏にお話をお聞きしましたので、その様子を2回に分けてお伝えします。
今回は川瀬氏の作品とその思いをご紹介します。
[ことしるべ]で川瀬氏をご紹介するのは、一昨年の「第30回記念工芸美術創工会展 同時開催 新進作家5人展」に続いて、2回目です。
川瀬理央氏
――とても繊細な作品ですね。これは何でできているんですか?
川瀬:磁土という粘土で作っています。
――制作工程を教えてください。
川瀬:まず形の原型を作り、その原型に粘土を貼り付けて型を作ります。
型とは別に枝のパーツを作り、型の中でパーツを配置して、パーツ同士が触れる部分に泥を付けて接着します。その工程を繰り返して形ができたら、型ごと焼成します。
――細長い曲線の組み合わせが特徴的ですが、なぜこのような形の作品を作られているんですか?
川瀬:この作品は、樹木をモチーフに器型にしました。
もともと、ものごとの過程の部分に魅力を感じています。樹木には幹のうねり、枝の曲がりや伸びに生きてきた時間や過程が刻まれています。器にも、目には見えづらいかもしれませんが、作り手や使い手の重ねた時間が刻まれています。 そんな過程に魅力を感じて、形にしたいと思っています。
なので、一本一本の枝ぶりから全体のフォルムを楽しんでいただけたらと思います。
――ここまで繊細だと、展示に出すための梱包も大変そうですね。
川瀬:梱包は専用の木箱に入れて、土台部分をスポンジで包み、上の細い部分は宙に浮いている状態にします。
下から上にいくにつれて細くなっているのは、樹木の枝ぶりをモチーフにしているためです。
――なぜ、全作品白い色なのですか?
川瀬:色は、まず形を見てほしいとの思いから白くしています。色が付くとどうしても意味が出てきてしまいます。そうではなくて、一本一本の形や、全体のフォルムを見ていただきたいと思っています。
また、白いと言っても、白色を付けているのではなくて、焼いた土の色がこの色なんです。透光性のある土を使うことで細い部分がより繊細に見え、焼き物独特の儚さも出て、作品の魅力になると考えています。
色を付けてしまうと透光性が弱くなってしまうので、土を焼くことでできるそのままの白色で作っています。
次回は陶芸作家・田中悠氏の作品をご紹介します。お楽しみに!
● 美飾會 ● ◆会 期 2020年7月14日(火)~8月2日(日)月曜休廊 ◆時 間 午前11時~午後7時 ◆会 場 ギャラリー なかむら (京都市中京区姉小路通河原町東入 恵比須町424番地 ABSビル2F) 電話:075-231-6632 ◆料 金 無料 |