<所蔵品展>
故郷から羽ばたく画家たち
- 中京出身の画家、川合玉堂、伊藤小坡、前田青邨を中心に -
【ことしるべ美術クラブ スタッフおススメのアートスポット!vol.99】 で、特別展「鏑木清方 - 清くあれ、潔くあれ、うるはしくあれ -」を紹介した愛知県の名都美術館で、2020年1月17日(金)より、<所蔵品展>「 故郷から羽ばたく画家たち - 中京出身の画家、川合玉堂、伊藤小坡、前田青邨を中心に -」が開催されます。
東西画壇で活躍した画家の中には、東海地方出身者が少なくありません。穏健な里山の風景で人気を博した川合玉堂は愛知県出身、京都画壇で活躍した女性画家・伊藤小坡は三重県生まれ、さらに日本美術院で「院展三羽烏」と謳われた前田青邨は岐阜県が故郷です。
本展では、近代日本画史に輝かしい足跡を残し、今なお多くのファンを魅力する玉堂、小坡、青邨を中心に、東海三県出身の画家8名をご紹介します。
●出品作家
愛知県出身…川合玉堂(1873-1957)、大森運夫(1873-1958)、平川敏夫(1924-2006)
岐阜県出身…大橋翠石(1865-1945)、前田青邨(1885-1977)、守屋多々志(1912-2003)
三重県出身…伊藤小坡(1877-1968)、嶋谷自然(1904~1993)
●展覧会の見どころ
・実はこんなに多い東海三県出身者
東京画壇で活躍していた川合玉堂や前田青邨、京都画壇で活躍した伊藤小坡も実は愛知、岐阜、三重の出身者。
幼少期に過ごした環境は彼らの芸術を育む上でも大きな影響を及ぼしたに違いありません。
東海三県にお住まいの皆様にとっては、同郷の画家ということでいっそう親しみがわくのではないでしょうか。
川合玉堂《鵜飼》 名都美術館蔵
伊藤小坡《春のよそほひ》昭和5年(1930) 名都美術館蔵
前田青邨《紅白梅》昭和47年(1972)頃 名都美術館蔵
©Y.MAEDA&JASPAR,Tokyo,2019 E3570
・関西経済界で人気の虎の画家も岐阜出身
「日本一の虎の画家」と称された大橋翠石は、郷里の岐阜県安八郡大垣町(元・大垣市)で長年活躍していましたが、40代後半で兵庫県須磨町西須磨(元・神戸市須磨区)に移り住みます。この地でいっそう技術を磨き「須磨様式」を完成させた翠石は、横山大観、竹内栖鳳とも並ぶ人気画家と謳われました。威風堂々とした虎の絵は関西経済界の人々の間で人気を博し、翠石の虎画を所蔵していることが彼らのステータスであったとも伝わります。表情豊かに描かれたリアリティあふれる作品をご堪能頂けます。
大橋翠石《獅子虎》 大正4~14年(1915~25)名都美術館蔵
・京都の稲石着尺図案塾で学び、創画会で活躍した平川敏夫の大作も公開
京都で活躍した上村松篁や秋野不矩をはじめ、東京画壇でその名を知られた山本丘人、吉岡堅二ら総勢13名により昭和23年(1948)結成された創造美術。
敏夫は第3回創造美術展で初入選を果たして以降出品を重ね、新制作協会日本画部、創画会においても中心的メンバーとして活躍しました。
モノクロームの世界に高い精神性を窺わせる神秘的な作品をご堪能頂けます。
平川敏夫《樹境雪映》 名都美術館蔵 左隻:昭和62年(1987)
平川敏夫《樹境雪映》 名都美術館蔵 右隻:平成2年(1990)
今回、[ことしるべ]読者に向けて、本展担当者よりコメントを頂戴しましたのでご紹介します。
” 美人画作品をコレクションの核とする名都美術館ですが、それ以外にも近代日本画を多く所蔵しています。
本展では、川合玉堂《鵜飼》、前田青邨《紅白梅》など当館でも人気の高い定番の作品とともに、
新春に相応しい伊藤小坡の《春のよそほひ》、
また普段ご紹介する機会の少ない大橋翠石や平川敏夫などの大作もご覧頂けます。”
関連イベント情報!
●名都美術館館長石丸正運のギャラリートーク
2月18日(火) 14時~
●当館学芸員によるギャラリートーク 全て14時から
1月29日(水) 、2月11日(火・祝)、2月29日(土)、3月8日(日)
◆<所蔵品展> 故郷から羽ばたく画家たち - 中京出身の画家、川合玉堂、伊藤小坡、前田青邨を中心に - |