19世紀後半、万国博覧会は各国がそれぞれ独自の思想や最新技術を示し、国家の威信をかけて臨む祭典でした。明治維新を契機として近代国家への道を歩みはじめた日本は、各国で開かれる万国博覧会で欧米諸国の先進技術を学び取る一方、茶の湯を日本固有の文化のひとつとして世界にアピールします。また日本国内では、明治5年(1872)開催の第一回京都博覧会において訪日外国人のために卓と椅子を用いた新しい茶の点前「立礼(りゅうれい)」を披露するなど、西洋化する生活様式に対応した形式が考案されます。
本展では、国内外で開催された博覧会へ出品された千家十職の作品や、京都の伝統工芸に取り入れられた新しい技術や図案をめぐる作品などを展示し、日本を取り巻く情勢が大きく変容した時代の茶の湯について紹介します。
併設展では、海外からの里帰り品を含む印籠と根付、および印籠箪笥を展示します。
三彩獅子香炉 田中宗慶作 梅澤記念館蔵
木地松唐草絵炭斗 駒沢利斎作
〇令和2年 新春展「近代の博覧会と茶の湯」 併設展 「印籠-Inrô-の世界」 |
裏千家センター