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【ことしるべ美術クラブ スタッフおススメのアートスポット!vol.96】大阪市立東洋陶磁美術館  特別展「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション-メトロポリタン美術館所蔵」

【ことしるべ美術クラブ スタッフおススメのアートスポット!vol.96】大阪市立東洋陶磁美術館 特別展「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション-メトロポリタン美術館所蔵」

特別展「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション-メトロポリタン美術館所蔵」

竹を素材とした作品は、線で構成された軽やかな造形が魅力であり、現代的な視点で捉えなおされて国際的に高く評価されています。
なかでも、ダイアン&アーサー・アビー夫妻が収集した作品は世界屈指のコレクションの一つとして知られ、2017年から翌年にかけてメトロポリタン美術館において開催された“Japanese Bamboo Art: The Abbey Collection”(「日本の竹工芸:アビー・コレクション」展)で紹介されました。
その展覧会を再構成した本展では、アビー・コレクションから近現代の竹の作品75件を、当館の陶磁器コレクションとともに展示します。
さらに、大阪の誇る現代作家、四代田辺竹雲斎氏(1973-)によって、美術館の吹き抜けの空間を活かした巨大な竹のインスタレーションが、当館のため特別に制作されます。
制作地、さらには受容の場として竹の文化が根付いてきた大阪の地において、竹による軽やかな造形表現の魅力、そして工芸という領域の広がりと可能性を体感してください。

今回、[ことしるべ]読者に向けて、本展担当学芸員の宮川智美様よりコメントを頂戴しました。
” 竹を素材とした作品は、大阪をはじめとする関西では、煎茶や茶の湯の豊かな受容文化のなか、作家と使い手の美意識が育まれてきました。
近年では、パリやニューヨークなど、外国でも大規模な展覧会が開催され、現代の多様な表現が高く評価されています。
当館の珠玉のコレクションとともに、竹に対する清らかで新鮮なイメージを辿ります。
また、本展は大分・東京と巡回してきた最終会場となります。当館では特別に、大阪の堺を拠点とし、フランスやトルコなど世界中で活躍する、四代田辺竹雲斎氏(1973—)の竹によるインスタレーション作品を制作いただきます。
線の造形と文学的イメージの交錯する竹の魅力を感じていただければと思います。” 

(大阪市立東洋陶磁美術館 宮川智美)
 

【主な作品】

長倉健一 花入 女(ひと) 2018年 高さ182.0㎝
The Abbey Collection, “Promised Gift of Diane and Arthur Abbey to The Metropolitan Museum of Art.”
Image © The Metropolitan Museum of Art.

長倉健一(1952-2018)は、祖父の勝三から技術を学びました。
1982年に沼津で個展を開催して以降、国内外で多くの個展やグループ展に出品し、自由な造形感覚による有機的なイメージの立体造形作品を発表しました。
20世紀の西洋の彫刻家や、先史時代の芸術様式に影響を受け、自然そのものから着想を得たとされる長倉の作品は、竹の特性を生かした彫刻作品として位置づけられています。
2000年には、コッツェン・バンブー賞の第1回グランプリを受賞し、その名声を確たるものにしました。
国内外の高い評価を得た長倉の作品は、アメリカを中心に国外の美術館に所蔵されています。本作は、人間の顔や体を表現するシリーズの一つです。
わずかにのぞく上部の竹節と、細いひごを編み上げた下部により、ほっそりとした女性の姿を表しています。
竹は長らく茶道具や花籃製作に重きを置かれていましたが、本作のような彫刻作品により、竹を素材とした新たな造形とその可能性が世界に知られるところとなりました。

 

初代田辺竹雲斎 魚耳付花籃 1922年
高さ27.5㎝
The Abbey Collection, “Promised Gift of Diane and Arthur Abbey to The Metropolitan Museum of Art.”
Image © The Metropolitan Museum of Art.

茶葉末釉双耳方形瓶(「大清乾隆年製」銘)
清時代・乾隆年間(1736-1795)
景徳鎮窯 高さ32.8㎝
大阪市立東洋陶磁美術館蔵(住友銀行寄贈) 

初代田辺竹雲斎(1877-1937)は12歳で大阪の初代和田(わだ)和一(わいち)斎(さい)に師事し、1901年に独立しました。
花月庵流煎茶や華道、書画など諸芸を修め、内国勧業博覧会をはじめ国内外の展覧会で数多くの賞を受賞しました。
柳沢淇園(1704-1758)の描いた花籃図に想を得た柳里恭式(りゅうりきょうしき)花籃や、古矢竹を用いた作品などで知られています。
本作は精緻な唐物写しで、「木耳」と呼ばれる木で作られた魚形の耳がつけられています。
本展では、アビー・コレクションと館蔵品を同じ空間の中で組み合わせてご覧いただきます。
例えば、《茶葉末釉双耳方形瓶》(右)は、茶葉の粉末に似た茶葉末釉が厚くかけられています。
この二つの作品は、制作された時代や素材は異なりますが、器形が類似しています。
後者が古代の青銅器の姿を写したように、竹の作品においても青銅器や陶磁器、漆器などから影響を受けながら、質感を模しつつもその違いを楽しんだのかもしれません。

初代早川尚古斎 山高帽
1880-1890年代頃 高さ13.7㎝ 
The Abbey Collection, “Promised Gift of Diane and Arthur Abbey to The Metropolitan Museum of Art.”
Image © The Metropolitan Museum of Art.

初代早川尚古斎(1815-1897)は、越前(現在の福井県)に生まれて、京都で籃作りの修業を積み、大阪を拠点に活動しました。
同時代の文人や数寄者と交流し、煎茶道具を多数制作しました。なかでも提籃(煎茶道具を収納する籃)は、第1回内国勧業博覧会で鳳紋賞を受賞し、その名が知られるところとなりました。
大阪における籃師の第一人者として活躍した尚古斎は、竹の作家として初めて自身の名を作品に記したとも言われます。
また、唐物籃制作の知識と高度な技術を生かして、新しい造形にも挑みました。本作もその一つで、西洋風の山高帽を、籐を用いて編んでいます。
明治時代の歌舞伎役者・九代目市川團十郎(1838-1903)が好んだことでも知られています。

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メトロポリタン美術館で開催された“Japanese Bamboo Art: The Abbey Collection”で展示室入口にインスタレーション《GATE》を制作し、竹による表現の幅の広さと可能性を提示した四代目田辺竹雲斎が、大阪会場では、美術館エントランスから吹き抜け天井、展示室入口にまで広がるダイナミックなインスタレーションを制作・設置します。
ご期待ください!!

四代田辺竹雲斎(1973-)
三代竹雲斎の次男として大阪府堺市に生まれる。
東京藝術大学で彫刻を専攻し、大分県竹工芸訓練支援センターで2年間の研修の後、三代竹雲斎に学びました。
2006年より「小竹」の号で作品を発表し、2017年四代竹雲斎を襲名しました。
田辺家歴代の技術を継承した作品を制作しながら、2011年頃からはインスタレーション作品の制作をはじめ、世界各地において作品を発表し高い評価を得ています。
 

【関連イベント】

1. トークイベント「Bamboo Artの現在(仮題)」
講 師:モニカ・ビンチク氏(メトロポリタン美術館アジア美術部学芸員、本展監修者)×出川哲朗(当館館長)
日 時:2019年12月21日(土)午後2時~午後4時(受付開始1時30分)
定 員:70名 事前申込制
場 所:大阪市立東洋陶磁美術館 地下講堂
参加費:無料(ただし入館券が必要)


2. 記念対談「四代田辺竹雲斎のインスタレーション(仮題)」
講 師:四代田辺竹雲斎氏(竹芸家)×出川哲朗(当館館長)
日 時:2020年2月16日(日)午後2時~午後4時(受付開始1時30分)
定 員:70名 事前申込制
場 所:大阪市立東洋陶磁美術館 地下講堂
参加費:無料(ただし入館券が必要)

※お申込み方法とご注意
・お申込みメールアドレス(moco_event@moco.or.jp)に参加を希望するイベントの開催日・氏名・電話番号・参加ご希望人数(2名様まで)を明記の上お送りください。
・定員に達し次第、締切とさせていただきます。
・お申込後1週間以内に、参加の可否をお知らせするメールが届かない場合には、お手数ですがお電話にて大阪市立東洋陶磁美術館(06-6223-0055)までお問い合わせください。
 お申込みの際にご提出いただく個人情報は厳重に管理し、本事業の実施ならびに事務連絡以外には使用いたしません。

◆特別展「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション
会  期:2019年12月21日(土)~2020年4月12日(日)
会  場:大阪市立東洋陶磁美術館 大阪市北区中之島1-1-26(大阪市中央公会堂東側)
アクセス:京阪中之島線「なにわ橋」駅下車すぐ・Osaka Metro御堂筋線・京阪本線「淀屋橋」、Osaka Metro堺筋線・京阪本線「北浜」各駅から約400m
休 館  日: 月曜日(ただし1月13日、2月24日は開館)、12月28日(土)~1月4日(土)、1月14日(火)、2月25日(火)
開館時間:  午前9時30分~午後5時 1221日(土)・22日(日)は午後7時まで開館 入館はいずれも閉館の30分前まで
主      催:大阪市立東洋陶磁美術館、NHK大阪放送局、NHKプラネット近畿、毎日新聞社
制作協力:NHKプロモーション
企画協力:Ueki & Associés
協  力:日本航空
協  賛:imura art gallery、夢工房
同時開催:[特集展]「受贈記念 木村盛康・天目のきらめき」[平常展]中国陶磁、韓国陶磁、鼻煙壺
拝 観  料:一般1,200円(1,000)、高大生700円(600)※( )内は20名以上の団体料金
              ※中学生以下、障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)、大阪市在住の65歳以上の方は無料(証明書等提示)
問い合せ:大阪市立東洋陶磁美術館 電話 : 06-6223-0055 FAX : 06-6223-0057
             HP : http://www.moco.or.jp