寺町通りの喧騒の中、一歩踏み込むとそこは空気が一変。炭のマイナスイオンがあふれ、異空間が広がっています。今回の展示では、主に明治時代の紙を用いたコラージュ作品に加え、同氏が1年前から制作している炭を用いた作品群が展示されています。
コラージュ作品は、能の謡い本や、掛軸などのアンティーク紙を、当時の様子を想像しながら、感性に任せて破り、貼り付け、制作が進んでいきます。古い紙は、破っても思い通りの形にならないこともあるとか。アンティーク紙ならではで、作品には作意と無作為が併存していると言います。その境界を行き来しながら鑑賞してみては。
本展の中心は炭素材を用いた作品群。バリ島での炭素材に加え、高槻バイオマス粉炭研究所で精製された雑木や間伐材などの炭も活用しているそうです。制作された作品は周囲の光や音、気配や時間までも吸収するかのような、玄(くろ)。そこには静寂の世界が広がっています。しかし、同氏の作品では、光を吸収した黒色が表情を一変。光を放ち始めるのです。その光は、見る人により様々な姿を現します。街の様子を映したランドスケープ、まるで印象派の画家の絵のよう、宇宙空間のよう―。それぞれの受け取り方を楽しめるのも魅力のひとつかもしれません。
本展は、9月22日(日)まで。午前10時半~午後8時半まで(最終日は午後6時まで)。
ぜひ日常の喧騒から離れ、リラックスしにお出かけください。
アートスペース余花庵 https://yokaan.com
Hakama(ハカマ) http://hakamaarts.com
アメリカ出身。8歳で絵を描き始め、10歳からギター演奏を開始。18歳から40年近くにわたり、オーストラリア、バリ、ジャワ、インド、マウイ、フランスなど拠点を移しながらクリエイティブな活動をする。現在は長年憧れて続けていた京都を終の棲家とし、日本の古い素材からインスピレーションを受け、炭を用いたアートを制作する。近年では、2018年銀座、2019年ニューヨークにて個展を開催。