【ことしるべ美術クラブ スタッフおススメのアートスポット Vol.76】佐川美術館「名刀は語る 美しき鑑賞の歴史」~刀剣乱舞とのコラボが話題!

【ことしるべ美術クラブ スタッフおススメのアートスポット Vol.76】佐川美術館「名刀は語る 美しき鑑賞の歴史」~刀剣乱舞とのコラボが話題!

 

日本刀は、古来災いや邪気を払う霊器として神聖視され、武士にとっては、武器であるとともに精神的支柱であり、日本人の精神文化に大きな影響を与えてきました。また、日本刀は、優美な姿、千変万化する刃文など、その見所は多彩であり、日本を代表する美術品として、国内を問わず世界でも高い評価を得ています。

日本刀を擬人化したオンラインゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」の影響で、女性や海外にも広がる日本刀ブーム。
佐川美術館で現在開催中の企画展「名刀は語る 美しき鑑賞の歴史」では、織田信長が所持していた「一文字」など戦国時代ゆかりの名品の数々をご覧いただけます。

本展に出品される《大笹穂槍(号 蜻蛉切 とんぼきり)》を擬人化したキャラクターが〈刀剣男士「蜻蛉切」〉。
「屈強な外見に反して、物腰は穏やかで紳士的」というキャラクター設定らしく、その力強い姿と名前の由来となった逸話「蜻蛉(トンボ)が穂先に触れるや真っ二つになった」精巧さをあわせもつ名槍です。



静岡県指定文化財 《大笹穂槍 銘 藤原正真作 (号 蜻蛉切)》(裏 部分)
本多家伝来 室町時代末期(16 世紀) 個人蔵(佐野美術館寄託)


「刀剣乱舞-ONLINE-」
「蜻蛉切」等身大パネル<戦闘ver.>

コラボ企画とし、会場入り口に「蜻蛉切」の等身大パネルが設置され、撮影スポットとしても人気です。
この8月20日(火)からは「戦闘バージョン」版に入替が行われ、これまでの「通常バージョン」と共に押さえておきたいポイントです。

 


主な出品作品

織田信長が所持した名刀
一文字 Ichimonji


国宝 《太刀 銘 一》
松平(奥平)家伝来 鎌倉時代中期(13 世紀) 個人蔵(佐野美術館寄託) 刃長71.0cm

茎(なかご)に「一」の字があるのは、備前国福岡荘に住んでいた福岡一文字派と呼ばれる刀工の作。銘字「一」は書体が時代によって異なり、この太刀は鎌倉中期の作である。刃文は大きな丁子が連なり、絢爛豪華な作である。長篠城主奥平信昌は、天正3 年(1575)の長篠の戦いで、織田信長・徳川家康の連合軍が到着するまで、武田勝頼の大軍を相手にわずかな手勢で籠城して持ちこたえた。その功を賞して織田信長が信昌に与え同家に伝来したものである。

秀吉から高虎へ
大兼光 Ohganemitsu


重要文化財 《刀 金象嵌銘 備前国兼光/本阿弥(花押) (名物 大兼光)》
徳川将軍家伝来 南北朝時代(14 世紀) 佐野美術館蔵 刃長83.5cm

兼光は長光の孫、長船鍛冶の四代目を継いだ名工であり、時代の潮流に乗った新しい作風を創作した。年紀銘も多く、約30年にわたり、すべて北朝の年紀を刻んでいる。初期の作風は父景光に近く、延文(1356-1361)頃には大鋒の大太刀が作られ、鎌倉流のたれ刃文となる。この刀は延文頃の典型的な作で、もとの太刀は刃長1mを超える長大な姿であった。精美な美しい地肌には、一部の緩みもなく、刃文は正宗などの躍動的な刃文とは異なり、春の海のような静かなうねりである。茎の金象嵌銘は本阿弥光温(家督相続期間1626-1666)である。『享保名物帳』に所載され、太閤の遺物として藤堂高虎(1556-1630)が拝領。その後徳川将軍家に移り、同家に伝来した。

上杉謙信の腰刀
火車切 Kashagiri


重要美術品 《脇指 銘 相模国住人廣光/康安二年十月日 (号 火車切)》
上杉家伝来 康安2 年(1362) 佐野美術館蔵 刃長38.4cm

地鉄は、板目に杢目交じり、地沸厚くつき、地景入り、飛び焼き・棟焼きも入る。刃文は丁子・互の目交じり、足・葉が盛んに入り、沸つよく、金筋・砂流しが盛んに入りにぎやかな刃文である。彫物は梵字・三鈷柄剣・護摩箸が彫られている。広光の皆焼の中でも、華やかな作である。この脇指には上杉謙信の腰刀として、黒漆塗小サ刀拵が付属する。上杉家の腰物帳には「火車切」、いわれは不明としている。

 -茶の湯と刀の関係-

「茶室の中ではすべての人が平等」


どんなに身分が高い人でも、刀を外し頭を下げなくては茶室に入ることができません。
本展では展示室に茶室を設置し、その入り口には刀掛けがある様子を紹介されています。


佐川美術館
夏季企画展「名刀は語る 美しき鑑賞の歴史」

◆会 期 : 2019 年7 月10 日 (水) ~ 9 月23 日 (月・祝)
◆開館時間 : 午前9 時30 分 ~ 午後5 時 (入館は午後4 時30 分まで)
◆休館日 : 月曜日 (祝日の場合は開館)、9/17
◆入館料 : 一般¥1,000(¥800)/ 高大生¥600(¥400)
( )内は20 名以上の割引料金
中学生以下は無料 ※ただし保護者の同伴が必要
※ 専門学校・専修学校は大学に準じる
※ 障害者手帳をお持ちの方(手帳をご提示ください)、付添者(1 名のみ)無料

[主催]公益財団法人佐川美術館、NHK 大津放送局、NHK プラネット近畿
[後援]滋賀県、滋賀県教育委員会、守山市、守山市教育委員会
[特別協力]公益財団法人佐野美術館 [制作協力]NHK プロモーション
[協力]SG ホールディングス株式会社、佐川急便株式会社、佐川印刷株式会社