生誕130年記念 小野竹喬のすべて その1
小野竹喬(1889-1979)は近現代の京都画壇で、自然の美しさを描き続けた画家です。竹喬の生誕130年、没後40年にあたる今年は、竹喬の故郷笠岡で10年ぶりの大回顧展が開かれています。
竹喬の75年に及ぶ画業のうちには、二つの頂点があります。
一つは国画創作協会展を主とする大正中期から昭和初期の時代で、もう一つは日展出品作を中心とした戦後の時代です。
今回の展覧会では昭和14年の《清輝》発表により、画風が至純な竹喬独自の世界に入ったとの理解の上で、ここを分岐点として、第一章「模索の時代 1889-1938」(7月6日(土)~9月1日(日))、第二章「至純の時代 1939-1979」(9月7日(土)~11月24日(日))の二章構成で展覧します。
各章ともに中盤に展示替えを行い、約200点の作品から竹喬芸術のすべてを通覧できる展覧会です。
◆各章のみどころ
第一章「模索の時代 1889-1938」 7月6日(土)~9月1日(日)まで
情熱と激動の青年期を時系列に紹介します。
・栖鳳塾の課題で描いた17歳の時の作品《野之道(蕉翁句意)》
・文展で特選に輝いた《島二作(早春・冬の丘)》
・仲間と結成した国画創作協会の第1回国展に出品した《波切村》
・渡欧の際に立ち寄ったエジプトのピラミッドを描いた《ギザ郊外》
第二章「至純の時代 1939-1979」 9月7日(土)~11月24日(日)まで
代表作を中心に、竹喬作品の良さを余すところなく伝えます。
・作風の分岐点となった《清輝》(習作)
・親しい人々を相次いで失い、喪失の苦しみから新たな表現に目覚めた《月》
・さりげない自然の美をとらえた《宿雪》、《池》
・竹喬の代名詞ともいえる茜空に樹のシルエットが映える《夕茜》、《残照》、《樹間の茜》
・文化勲章を受章する契機となった《奥の細道句抄絵》シリーズ、初公開の作品
写真=「第一章 模索の時代」展示室内の様子
年代順に展示されているので、展示室ごとに作風が異なり、かなりイメージが変わります。
この模索の時代があったからこそ、戦後の竹喬様式が生み出されました。
●生誕130年記念 小野竹喬のすべて
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