TALKEN ABOUT... 長嶋柊展
京都御所東の荒神口にある小さなギャラリー「art space co-jin」。
こちらでは障害のある人の作品や表現に出会える場として展示・イベント活動などに取り組まれています。
現在は高機能自閉症の作家・長嶋柊さんの個展「TALKEN ABOT... 長嶋柊展」を開催中です。
会場内はとってもカラフルでまるでおもちゃ箱をひっくり返したかのよう!
その中から展示作品の一部をご紹介します。
●絵日記
本展のベースとなっているのは、長嶋さんの綴る絵日記。
長嶋さんは幼少期の頃から15年以上にわたって毎日絵日記を描き続けていて、その数は全部で177冊にもなるのだとか!
その177冊の中から、毎年の誕生日の出来事を描いた絵日記を中心にセレクトして展示しています。
むらのない画面にするため、指を使って丁寧にクレヨンの塗り伸ばしていくのだそうです。
そのため一つの絵画作品として成り立つほど、フラットで美しい仕上がりの色面になっています。
●デジタルイラスト
長嶋さんはグラフィックソフトを活用して、デジタルイラストの制作を行っています。
鉄道や信号機が擬人化されたキャラクターが生活する町「しんくやくしょ」に、架空の国家「デムボース」の首都「ネユリト(Reurt)」といった長嶋さんが独自に生み出した世界を舞台としたイラスト、
世界の名画をオマージュした作品、自転車カバーのフランダースの犬(!)など多様な作品が並びます。
キャプションも必見。
「(ネユリトの国民は)ほぼ全員が非水泳」、「(空港は)弦楽器などのふたを開けた内部のにおいを似たにおいがする」、「にんにく噴水の「ウッサ」」など独特の言葉で、長嶋さんワールドをより深く楽しめます。
●写真
会場の中央に置かれた展示台には、長嶋さんが撮影した写真が並びます。
「写真撮影」は長嶋さんの日課の一つで、多い日には一日千枚以上撮る日もあるのだとか。
電球や電車、電池、自転車カバー、ピクトグラム、定礎プレート…
撮影するものは長嶋さんの「お気に入り」ばかり。
これらの写真と壁面のデジタルイラストを見比べて、共通点を探すのも楽しみの一つです。
また、会場内にはいたるところに長嶋さんの「お気に入り」が散りばめられています。
少し視線を変えて見ると、くすっとできる発見に出会えます。
「長嶋さんはいろんなものに興味をもって、デジタルの作品を生み出しつつ、絵画性の高い絵日記も描いている。
彼がこれからどんなものに興味をもって何を生み出すのか楽しみです」とart space co-jinのスタッフさん。
長嶋さんの「好き」と、その「好き」が昇華された独自の世界を堪能できる「TALKEN ABOUT... 長嶋柊展」は10月14日まで開催中。
是非、お越しください。
「TALKEN ABOUT... 長嶋柊展」
◆会 期:2018年8月28日(火)~10月14日(日)(月曜休廊)
◆時 間:10:00-18:00
◆料 金:無料
※作家在廊日:9月22日(土)14:00〜15:00
9月23日(日)10:00〜12:00
9月29日(土)10:00〜12:00
9月30日(日)14:00〜15:00 (すべて予定)
長嶋柊(ながしま・とう)
平成10年生まれ。
3歳8か月時に高機能自閉症と診断される。
絵日記を幼稚園年少から15年以上描き続けている。
平成19年 日本自閉症協会顕彰事業芸術部門努力賞受賞
平成21年 絵本「しんくやくしょモノレール」出版
art space co-jin(アートスペースコージン)
きょうと障害者文化芸術推進機構(事務局 京都府障害者支援課)が運営する、障害のある人の作品や表現に出会えるギャラリー。
絵画、写真、陶芸、インスタレーションなど様々な作品を展示するギャラリー活動のほか、イベント、ワークショップ、講座など、誰もが交流できる機会を創出しています。
住所:〒602-0853 京都市上京区河原町通荒神口上ル宮垣町83 レ・フレール1F
HP:http://co-jin.jp/