【オススメのアートスポット紹介!Vol.16】染・清流館「第10回 祇園祭展」

【オススメのアートスポット紹介!Vol.16】染・清流館「第10回 祇園祭展」

第10回 
祇 園 祭 展

いよいよ今年も7月1日の吉符入より1か月に渡って行われる祇園祭。
祭の時期にあわせて染・清流館で開催される「第10回 祇園祭展」を紹介します。
作品出展および展覧会全体の監修もされた染色作家の内藤英治氏にお話をうかがいました。


内藤英治 氏(ご自身の作品の前で撮影)

ことしるべ:今年で10回の節目を迎えられましたが、もともとどのような経緯で始まった展覧会なのでしょうか?
内藤:この染・清流館の場所が、京都の室町、まさに鉾町のど真ん中にあります。
そこで染色の分野から染を、祇園祭を盛り上げたいという思いから、京都を中心に活躍する染色作家に声掛けをして始まりました。

ことしるべ:ご自身、今回で6回目の作品出展となります。祇園祭に対する思い入れはどのようなものがおありですか?
内藤:私自身が京都の上京区の出身で、高校は朱雀高校、大学は京都市立芸術大学でした。
鉾町ではないですが、祭り自体には子どもの頃から馴染みがありました。
今と違い当時は山鉾から「ちまき」が撒かれていた時代で、毎年17日にそれを取りに行くのを楽しみにしていたものです。(笑)
愛着があり親近感を持っている祭ですので、今でも7月1日以降はいろんな場所、場面をスケッチして楽しんでいます。
今回出展したのは藍染作品ですが、その時の作品ごとに藍濃淡がふさわしい場合とカラフルな色彩の時と、作り分けをしています。
以前、菊水鉾の巡行のお供をさせて頂いた時があって、辻回しを目の前で見ることができ、青竹の上にたっぷりと撒かれる水によってできた水たまりに映る鉾の姿をスケッチし、作品にしたこともありますよ。

ことしるべ:監修者のお立場としてはどのような思いで展覧会を作っていこうと思われていますか?
内藤:力作が揃っているので、見やすいように並べることさえできれば大丈夫と思っています。(笑)
 


畳敷きの会場でゆったりくつろぎながらご鑑賞いただけます


ことしるべ:「祇園祭」に染色の分野、表現から惹かれる点はございますか?
内藤:やはりタペストリーですね。天然染料の色、繊維が残っていることの歴史を感じます。
祇園祭は「動く美術館」とはよく言われますが、「動く歴史」でもあります。
山鉾が動くことで、タペストリーも動く姿が見られるのも、まさに染織品ならではで面白いですね。

ことしるべ:最後に、来場者にぜひひとことお願いします。
内藤:この会場で出品者に向けて、毎年12月頃に祭の関係者や大学の先生に祇園祭に関する様々な角度からのお話をうかがう勉強会を開催し、知識を深め祇園祭への親近感の醸成を図っています。
そして実際に宵山や山鉾巡行はもちろん、そのほかの様々な行事を各作家が思いを深めた状態で観てまわり、作品作りへと取り組んでいます。
そうして出来上がった作品が今ここに並んでいます。作品を通じて「祇園祭をテーマにこういう表現をするのか!?」「こういう発想で祭を見ているのか!?」ということを感じてもらい、会場を出てからもう一度実際の祇園祭を観てください。
創造と現実を行き来することで、祭自体への接し方が変わり、より親近感が増し、さらに祭も楽しめると思いますよ。
あと私事ですが、今年は、菊水鉾の手ぬぐいの原画を作成をしました。販売されますので、そちらもぜひ見てください!
 




内藤英治氏が原画作成された「菊水鉾手拭原画(二)」の額装

 

第10回 祇園祭展
●出品作家(敬称略)
〈監修〉内藤 英治
    兼先 恵子 栗原 知枝 島野 千鶴子 田島 征彦 本間 晴子 増田 晴香 松本 健宏 丸山 敦子
会 期 平成30年6月29日(金)~7月24日(火) 
     ※7月2日(月)、9日(月)、17日(火)休館 
      7月16日(月)、23日(月)は開館
時 間 午前10時~午後5時
会 場 染・清流館(明倫ビル6階)
      京都市中京区室町通錦小路上ル山伏山町550-1 明倫ビル6階
      電話:075-255-5301
      HP http://www.someseiryu.net/
料 金 大人300円 学生200円


●染・清流館


 

「染・清流館」は、2006年、「日本の染色アートを世界に向けて発信する」こと を目的として京都に設立。
京都を拠点に活躍する作家100人の作品計約500点を所蔵し、巨匠から新鋭まで様々な染色作家達の作品を展示する、世界で初めての染色アートの専門美術館。
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