【オススメのアートスポット紹介!Vol.10】京都陶磁器会館「Traditional ∞ Modern 陶工房・伯耆 陶展 ~伯耆正一 葉子 うつわの仕事~」

【オススメのアートスポット紹介!Vol.10】京都陶磁器会館「Traditional ∞ Modern 陶工房・伯耆 陶展 ~伯耆正一 葉子 うつわの仕事~」

Traditional ∞ Modern
陶工房・伯耆 陶展
~伯耆正一 葉子 うつわの仕事~


写真=Takeru Koroda


京都陶磁器会館で開催中の、「Traditional ∞ Modern 陶工房・伯耆 陶展 ~伯耆正一 葉子 うつわの仕事~」の会場を訪問。
陶芸家の伯耆正一・葉子ご夫妻にお話しをうかがいました。


ことしるべ:今回はご夫婦での二人展の形の展覧会ですが、このような展覧会は過去にもおありですか?
伯耆正一:はい。自分は箸置きなどの小物をあまり作らないので、個展より作品のバリエーションが増えるメリットがあり、最近はよく二人展もやっています。
二人の時は「陶工房 伯耆」としての展覧会で、自分がボディ、家内が絵付けをしたものや、それぞれが作ったものを展示しています。

ことしるべ:夫婦で作家ということで、お互いの作品の批評をされたりもするものなのでしょうか?
伯耆正一:家内自身も焼き物作りの作業を全てできるため、客観的に自分の作品を見てくれますね。
「この色は違うのではないか」などと言われることもあります。
心の中ではライバル視していて、内心カチンとくることもあるのですが(笑)、その提案を次の作品で取り入れたりもします。
作家夫婦によってはお互いの作品についてはまったく触れない方もおられますが、うちは違います。
このやり方でもう30年やってきました。親も陶芸家なのですが、同じようにやっていましたよ。


伯耆 正一 氏

 

ことしるべ:今回の展覧会の見どころはどのような点でしょうか?
伯耆正一:初の試みとして、パステルカラーの釉薬を使ったうつわを出しました。
若い方たちの生活様式が変わってきています。そこでポップな柄も取り入れました。
色味を増やすために、釉薬の実験を時間かけていっぱいしましたよ。

伯耆葉子:従来のものより軽やかなイメージを狙いました。
「インスタ映え」やトレンドばかりを意識しているわけではありませんが、色や厚さなど、うつわにもトレンドがあります。
ぐいのみは毎年デザイン、釉薬、手法を変えたものを作っています。
いい色を出すのはとても時間がかかります。釉薬の調合の試験の繰り返しで、それをいかにコントロールするのかが私たちプロの仕事です。「偶然」できたものではありません。


伯耆 葉子 氏

伯耆正一:実は今朝まで作品を作っていました。
一週間前から二人交代で寝ずに窯をたき、あがってきたものを彩色。
そして夜中も窯をチェックすることを繰り返し、今日に至りました。おしりに火がつかないとできないタイプでして・・・。(笑)

ことしるべ:作家の作られた陶芸作品は「高価」で普段の生活から遠いものと感じてしまい、100円均一ショップの食器などで済ましてしまう方も多いと思うのですが。
伯耆正一:日展や創工会展などの展覧会では、大型の作品を見ることがどうしても多いと思います。
自分のスタイルは、そのような展覧会向きの大型作品から茶陶、一般食器まで「何でも作る」というもの。
今回の作品の9割はうつわ。手頃な価格だけど、デパートやほかの焼き物屋さんでは買えない、こだわりのある「オリジナル」なものを出しています。
この会館は清水寺にも近いためか、来場者の6割から7割、そして購入される方の6割が外国人観光客。日本の方にも、特に京都の方に、地場産業である京焼の良さをもっと知ってもらい、生活の中に取り入れてほしいですね。

伯耆葉子:今、このような食材の盛り付け、花の生け方ができるというところまでコーディネートして提案することを、ホームページやインスタグラムで配信しています。
本展はその流れを汲んでいます。
この季節を考慮して、あじさいの色合いをイメージしたお皿も作ってみました。皆さまの暮らしにも、ぜひ彩りを添えていただきたいですね。
ただ、DMチラシ画像のカップがすでに売れてしまってもうありません。すみません。


展示会場を案内いただきながら、興味深いお話をお聞かせいただきました。

伯耆正一:私たちは作ったものを売って生活しています。昨今の景気低迷や時代の流れの中、なかなか作品が売れなくなっています。
以前は結婚式のお祝いのお皿や、乾杯用のカップなどの注文も受けていました。
これから幸せになる方のお話をうかがい、オリジナルの作品にしていく作業は非常に楽しい経験でもあります。
もちろん、今でも連絡いただければ相談に乗りますよ!

ことしるべ:ありがとうございます。そのような相談が作家の方とできるなんて思ってもみませんでした。
また、三重県伊賀市で開催される今月21日からの30回記念の創工会展 in IGA、そして秋の京都文化博物館での創工会展も楽しみにしております。


伯耆正一氏・葉子氏(インタビューでも触れられたあじさい色合いをイメージしたお皿とともに)

作品画像閲覧や作品作製の依頼など、陶工房 伯耆のHPはコチラ!→http://www.eonet.ne.jp/~toukoubou-hoki/
会場では、お気に入りの作品があれば購入もできます。ぜひ自分だけの一点ものの食器を見つけてみてください!

Traditional ∞ Modern 陶工房・伯耆 陶展 ~伯耆正一 葉子 うつわの仕事~
会 期 平成30年6月1日(金)~6月13日(水)※木曜休館
時 間 午前10時~午後6時
会 場 京都陶磁器会館 
     (京都市東山区東大路五条上る遊行前町583-1 市バス「五条坂」下車すぐ)
料 金 無料
主 催 一般財団法人 京都陶磁器協会

●京都陶磁器会館

写真=畠山崇

京都で活躍する作家・窯元の作品のみを厳選し、常設で現代の最新の京焼を展示・販売しています。 
会館案内やイベント情報など、こちらのホームページからチェックしてください!→http://kyototoujikikaikan.or.jp/


●お知らせ
伯耆正一氏も参加される、「第30回記念工芸美術art&craft創工会展 in IGA2018」が今月21日(木)より、三重県伊賀市の史跡旧崇広堂をメイン会場に文化財施設4会場で開催されます。
取材の際、伯耆正一氏も「創工会30周年企画のひとつ。とても素晴らしい雰囲気の会場での展覧会で、自分が出品する花器と、伊賀華道協会に属する華道10流派とのコラボレーションもあります。どのように花が活けられるのか、開幕を自分でも楽しみにしています。」とおっしゃってられました。
詳細はコチラ