現在開催中の「ニッポン×ビジュツ展」も閉幕まであと10日あまり―。
本展では、東京富士美術館が所蔵する3万点のコレクションの中から、葛飾北斎、歌川広重、 伊藤若冲、 円山応挙、 鈴木其一などの絵画、浮世絵版画や、 重要文化財に指定されている太刀《銘 備前國長船住近景》、 島津斉彬所用の武具甲冑など日本美術の名品40点を展観。 日本文化が華やかに咲き乱れた江戸時代の名品を中心に「カワイイ」「サムライ」「デザイン」「黄金」「四季」「富士山」といった日本美術を楽しむうえで欠かせない6つのキーワードを通して、ニッポンのビジュツをひも解いています。
今日から6回に分けて、各章のイチ押し作品と日本美術の面白さについて解説していきます。
《第3章》
デザイン×日本美術
鈴木其一 《風神雷神図襖》江戸時代後期(19世紀) 部分
俵屋宗達に始まり、 尾形光琳が発展させ、 酒井抱一や鈴木其一に代表される「琳派」の絵師。 彼らの活動は、 直接の師弟関係によらず江戸時代を横断し、 京都から江戸へ広がり、 絵画や工芸をまたぐという既成の流派の概念に収まらないものでした。
宗達、 光琳、抱一、 其一と描き継がれた風神雷神図、其一は抱一までの二曲一双で並び立つ二神を、 大胆に襖四面の広大な空間の表裏に描き分けます。 斬新な発想力に由来する独自の造形=デザインに彼らの真骨頂があります。