現在開催中の「ニッポン×ビジュツ展」も閉幕まであと10日あまり―。
本展では、東京富士美術館が所蔵する3万点のコレクションの中から、葛飾北斎、歌川広重、 伊藤若冲、 円山応挙、 鈴木其一などの絵画、浮世絵版画や、 重要文化財に指定されている太刀《銘 備前國長船住近景》、 島津斉彬所用の武具甲冑など日本美術の名品40点を展観。 日本文化が華やかに咲き乱れた江戸時代の名品を中心に「カワイイ」「サムライ」「デザイン」「黄金」「四季」「富士山」といった日本美術を楽しむうえで欠かせない6つのキーワードを通して、ニッポンのビジュツをひも解いています。
今日から6回に分けて、各章のイチ押し作品と日本美術の面白さについて解説していきます。
《第2章》
サムライ×日本美術
刀 銘 和泉守藤原兼定作(之定) 美濃 室町時代中後期(16世紀)
絵巻や屏風などの合戦絵に描かれた武士は、 武具甲冑を身に帯び、日本独自の戦闘図の主人公として存在感を示しています。
そしてもともと武士の身の回りの実用品でありながら、 現在は「美術品」として鑑賞される武器や武具の数々。現存する武士の遺品は、消費され失われた多くの実用品とは一線を画し、いずれも当時の武士のこだわりや美意識を反映し、贅を尽くした逸品です。
会場では刀を実際に手に持つようなスタイルで鑑賞できる刃文鑑賞特設ケースが用意されているので、ぜひ武士が刀を手に取って鑑賞したスタイルで名刀の美をあますところなくお楽しみください。