5月23日から5月28日まで京都髙島屋7Fグランドホールで開催する「第47回日本伝統工芸近畿展」。当コーナーでは、受賞作品を1点ずつご紹介していきます。
今回ご紹介するのは、《松下幸之助記念賞》を受賞した淺田尚道さん作<瓷岱赭壷>です。
*作家・淺田尚道さんの思い(資料より)*
縄文のむかしから一万年、つくり手はみずからの手で土をほることをこの五十年でやめてしまった。
与えられた素材は扱い易いのだが心が動かない。
山棲みの身となった若い頃にふと、九千九百五十年間の積み重ねを思い、みずからが立つこの地から拾いあげることからはじめてみた。
「拾う」という行為は、どこかそれだけで本能を刺激する。
そのなかから見えてくる、土の本性と人の本性。
野にあるものは力づよい。
思いどおりにならないことに工夫し、また受け入れる。
どれほどのことでもない、人、一人の積み重ね。
一万年にたったの一代、数十年を足してみたい。
作品の基となる岱赭原石は、いまは松下の電子部品工場が建つ場所から採掘されている。時代の最先端の工場にある古代の岱赭鉱脈。
すべてが成りゆきなのだが、本当に偶然というものは面白い。
今回ご紹介した作品をはじめ、入選した関西2府4県の伝統工芸作家の作品204点が見られる「第47回日本伝統工芸近畿展」は5月23日(水)から28日(月)まで開催。
淺田さんのお話をもっと聞きたい方は、5月24日(木)午前11時からの「特別企画 受賞作家が自作を語る」にもご参加ください。