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ローレライ、ドイツ 1817年
J・M・W・ターナー《ローレライ、ドイツ》1817年 水彩、グワッシュ、グラファイト、スクラッチングアウト・紙 マンチェスター大学、ウィットワース Photo:Bridgeman Images/DNPartcom
ライン川の名所であるローレライを描いた水彩画です。てのひら2つに収まってしまいそうなほどの小さな作品ですが、引き込まれずにはいられない魅力をたたえています。
風景の美しさの本質を表現するとはこういうことなのか、と気付かせてくれる作品です。
美女の姿をした精霊が船を沈めるというローレライの伝説は、1801年のブレンターノの小説で知られるようになりましたが、ターナーが知っていたかは確かではありません。
ローレライの伝説が有名になった背景には、この作品が描かれた10年後(1827年)のハイネの詩、さらに10年後の1837年にジルヒャーが作曲したあのローレライの歌が大きいのだそうです。
ターナーはこの伝説を知っていたのか、それとも知らずに魅入られてしまったのか、ローレライだけで、立ち位置や時間帯を変えて7点の作品を残しているそうです。
【4月3日(火) 京都新聞広告より】