髙島屋のもとに集った美術家たち―富岡鉄斎―


京都で法衣商の家に生まれ、幼少期からさまざまな学問に勤しんだ富岡鉄斎(1836~1924年)。その分野は国学、儒学、仏教など幅広く、19歳頃から本格的に画を学び始めました。特に中国の文人画や江戸時代の日本の文人画、大和絵、浮世絵、大津絵などを深く研究しました。そんな鉄斎自身も、日本最後の文人画家と呼ばれています。文人のもともとの意味は”中国で高い教養を持った知識人”であり、画は自らの人格向上のために描かれていたようです。座右の銘は中国の文人である董其昌(とうきしょう)による「万巻の書を読み万里の路を行く」という一説であり、これを実践するため日本各地に赴き、風景画などを描きました。

本展では、「〈特別展示〉豊田家・飯田家 寄贈品展」として、髙島屋創業家である飯田家からトヨタ自動車創業家の豊田家に嫁いだ二十子(はたこ)氏の婚礼衣装や豊田家、飯田家それぞれから髙島屋史料館に寄贈された美術品も特別に展観します。鉄斎が80歳のときに描いた「碧桃寿鳥図」も飯田家から寄贈された作品の一つ。吉祥のモチーフとしてよく用いられる桃をはじめ、鳥や木などが力強く描かれ、どこか異国情緒あふれる作品です。会場ではそれぞれの作品が髙島屋へ納められた時のエピソードも紹介されています。ぜひご覧ください!

本展は、3月29日~4月10日、京都髙島屋グランドホールで開催。
次回は、二百四十年近い歴史を持つ京焼の名家、四代清水六兵衞の作品を紹介します。

作品:富岡鉄斎「碧桃寿鳥図」大正5年 飯田家寄贈