開催期間:2022年2月10日(木)~2022年4月10日(日)
実用から生まれた漆器「根来」は、
木と漆の特性を最もよく活かした器といえます。
用途に適した簡潔なフォルムや、長年の使用に耐えうる堅牢な造り、朱と黒の明快な色彩が特徴です。
漆を塗り重ねた丈夫な器の表面は、経年によって上塗の朱漆が擦れて中塗の黒漆が現れ、味わい深い塗肌となります。近代にはこの塗肌の景色に魅せられた数奇者たちによって注目を集めることとなりました。
本展では、細見コレクションの創始者である初代古香庵(1901~79)が、自ら『根来の美』(1966年)を著すほど情熱を傾けて蒐集した「根来」を一堂に紹介します。
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木の強さとしなやかさ、
漆の鮮やかさと渋味、
使い込まれた美のかたち
【主な出品作品】
亀甲文瓶子 室町時代 細見美術館蔵
本来神前に酒を供えるための器で、一対として使われたものの一つと考えられます。中塗の黒漆が手擦れによって見え隠れし、朱と黒が強く引き合い、図らずも一つの器の経てきた年月の重みを醸し出しています。
重要美術品 菜桶 徳治2年(1307年)細見美術館蔵
寺院の食事の際に食物を運ぶために用いた器で、簡潔で力強い造形と、朱と黒のコントラストが魅力です。徳治2(1307)年の銘を持つ菜桶はほかに2つ伝存しており、紀年銘のあるものとしても貴重です。
高杯 平安後期~鎌倉前期 細見美術館蔵
盤面は非常に薄く、基台はしっかりとした厚みがあり、支柱から基台にかけては細い円錐形を描いて美しい姿を成しています。高杯は古い形式の什器として知られ、平安時代の絵巻に使用している様子が描かれています。
湯桶 室町時代 細見美術館蔵
東大寺伝来と伝わる湯桶。卓越した木工技術による頑丈な造りの中にも心地よい美しさを備えています。長い年月実用に供された器ならではの深い味わいと重厚さが感じられます。
【細見古香庵と「根来」】
細見コレクションの礎を築いた細見良(初代古香庵/1901~79)は、昭和10年頃より「根来」の蒐集をはじめ、研究を重ねました。
「私などは根来を見るたびに、長年の風雪と使用に耐えて、なおかつ美しいところに何となく声なき教訓を感じ、敬慕の念を禁じ得ないのであります。」(『日本美術工芸』285号、1962年)と語り、
その風格と優美な佇まいに魅せられました。また、茶の湯の道具として積極的に用いることで新しい取り合わせを提案しました。
開催期間 | 2022年2月10日(木)~2022年4月10日(日) |
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時間 | 10:00~17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 毎週月曜日(祝日の場合、翌火曜日) |
会場 | 細見美術館 京都市左京区岡崎最勝寺町6-3 |
ホームページ | https://www.emuseum.or.jp/ |
料金 | 一般 1,300円 学生 1,000円 |
お問い合わせ | TEL:075-752-5555 FAX:075-752-5955 |
主催/後援など | 細見美術館、京都新聞 |
備考 | ※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ご入館および施設の利用にあたってはマスクをご着用ください。また、急激な状況の変化により、やむを得ず会期・営業日等を変更する場合があります。 詳しくはホームページをご覧ください。 |