2022年6月1日

相国寺承天閣美術館「王朝文化への憧れー雅の系譜」Ⅱ期展示開催中

平安時代の雅な王朝文化の世界を描いた、江戸時代の絵画や和歌を紹介する「王朝文化への憧れー雅の系譜」が相国寺承天閣美術館で開催中です。
5月22日からは一部作品を展示替えし、Ⅱ期展示が始まりました。
その一部を紹介します。

◆重要文化財《蔦の細道図屏風》

本展の目玉作品の一つ、重要文化財《蔦の細道図屏風》はⅡ期からの登場です。
俵屋宗達が金地に緑青で土坡と蔦の葉を描き、烏丸光広が和歌を散らし書いた屛風作品です。
装飾的に配置された蔦の葉と、デフォルメされた土坡による構成で、優美な印象を与えます。
実は右隻と左隻を入れ替えても画面が繋がるという斬新なデザインでもあります。
本作は『伊勢物語』第九段の東下りの宇津谷峠を題材としています。
伊勢物語の主人公・在原業平が蔦の生い茂る山道を心細く歩いていたところ、知り合いの修行者に会い、都の恋人へ向けた和歌を託したという場面です。

会場に入るとすぐに「蔦の細道図屏風」がお出迎え!

ちなみに、ミュージアムショップでは本作の画面が繋がるデザインを活かしたオリジナルマスキングテープも販売中です。

◆初公開作品多数!

本展が初めてのお目見えとなる作品が多数出品されています。
後期から登場した初公開作品の一部を紹介します。

琵琶湖周辺の風景を、中国の名勝地・瀟湘八景に見立てた《近江八景図絵巻》。
石山寺と秋の寺を描いた「石山秋月」の場面を紹介しています。本堂の中には「源氏物語」の作者・紫式部をイメージしたと思われる女性が描かれています。

 

富士山と三保の松原、月を和歌の文字で描いた野々口立圃《富士図》。
月の輪郭には月を題材にした和歌、富士山の輪郭には富士山を題材にした和歌と、それぞれモチーフに合わせた和歌で表現されています。

《小野小町九相図》では和歌の名手・小野小町の死体が腐敗していく様が描かれます。
「九相図」とは死体が朽ち果てていく様を九段階に分けて描いた仏教絵画で、鎌倉時代から江戸時代に描けてよく描かれました。
絶世の美女としても名高い小野小町がどのような姿で描かれているのか…会場で確かめてみてください。

会場では他にも重要文化財や初公開含む多数の作品を紹介しています。
Ⅰ期をご覧になった方も、これから初めてという方も是非会場にお越しください。

 

↓「王朝文化への憧れー雅の系譜」展覧会概要はこちら↓
http://event.kyoto-np.co.jp/event/o-cyoubunnka.html