2019年1月28日
「イメージを染める~中井貞次の世界」ギャラリートーク開催!
2019年1月27日(日)午後2時より、「イメージを染める~中井貞次の世界」関連イベントとして、染色作家で京都市立芸術大学教授の日下部雅生氏を聞き手にお迎えし、中井貞次氏とのギャラリートークが開催されました。会場の椅子が足りないほど多くのお客様がつめかけた当日の様子をレポートします。
中井貞次氏(右)と日下部雅生氏(左)
中井貞次氏が在学当時は京都国立博物館の近くにあったという京都市立芸術大学。
基礎的な教育を受けた後に入った染織図案専攻科での蝋染の小合友之助先生との出会いと、しょっちゅう鑑賞に出向いた博物館体験による「感覚教育」。
修了後に工芸科図案専攻助手となり、上野伊三郎、フェリス・リッチ教授夫妻のもとでウィーン工房のデザインから大きな刺激を受けた若き日々が、貴重な写真とともに語られました。
この写真の中に、若き日の中井貞次氏が写っています
その後、海外旅行が今のように容易でない時代に、情報がないからこそ「知りたい」という探究心に突き動かされて挑んだ海外体験と、それが作品にどのように昇華されたかについてもお話がありました。
「いろんなものを見て、それで終わるのではなく、立ち止まってスケッチをしました。それによって、その場で受けたイメージをより確かにできます。そうして旅を続けました。旅は非日常。見るもの聞くもの全て初めてのことばかり。日常では得られないことを旅はたくさん教えてくれました。その体験が、年月がたって醸成され作品制作に反映されました。
今、パターン化された模様も、それを最初に生み出した人は、例えば波をひたすら凝視して作ったのかもしれない。既成の模様を安易に持ち込むのではなく、私独自の抽象表現にしたいと思っています。」
旅の思い出とともに作品の前で語る中井氏
「ものづくりはこれからも続けます。自然に宿る森の生命力を頭に描きながら、試行錯誤を繰り返し前に進むしかありません」、ギャラリートークの締めの言葉からは、来年米寿を迎える中井貞次氏の新しい作品へ向かう力強い思いが溢れていました。
予定していた椅子が足りないほどに多くのお客様にお越しいただきました
展覧会は2月17日(日)まで染・清流館で開催中!お見逃しなく。