十五代坂倉新兵衛×十五代樂吉左衞門 Vol.1 〜樂吉左衞門の萩焼への挑戦〜

十五代坂倉新兵衛×十五代樂吉左衞門 Vol.1 〜樂吉左衞門の萩焼への挑戦〜

―とりわけ共通するはずの運命については互いにふれることはなかった―

―共通する運命を背負っていることの言葉にはならないある信頼を僕らは感じていたと思う―

樂吉左衞門

同じ予備校に通い、共に東京藝術大学で青春を過ごした2人。
萩焼と樂焼、将来それぞれ15代当主となる宿命を背負った存在であった。
あれから40数年たち、2013年、お互いの仕事場を行き来し、吉左衞門が萩焼を、新兵衛氏が樂焼を、お互いの仕事に踏み込む、面白いコラボレーションが始動した。


坂倉家で轆轤を回す樂吉左衞門 撮影:田口葉子
 

萩焼と樂焼は、土や釉薬、焼き方、窯、その造り方すら異なる焼物である。
「焼き上がった作品はこぢんまりとして、少なくとも自分の描いたイメージとのギャップが大きいだけに、少しがっくりした」(樂吉左衞門)

樂焼の手捏ね成形に対し、萩焼は、轆轤成形。そして、その土の収縮率が大きく異なる。
萩の土は、焼くと樂の土より大きく縮むので、成形時はその収縮率を想定して大きく作らねばならないのである。
頭では理解していたものの、萩の土は想定以上に縮み、その感覚を坂倉家にて掴むところから、吉左衞門の萩焼との格闘が始まったようであった。

15代樂吉左衞門 萩焼井戸形茶碗 銘 宵月 撮影:鈴木一彦

一部、「樂と萩 新兵衛の樂 吉左衞門の萩」(2014年、世界文化社刊)より転載