京都 日本画新展2024|出品作家紹介=田中達也さん=

京都 日本画新展2024|出品作家紹介=田中達也さん=

「京都 日本画新展2024」

出品されている30名の作家を、順番にご紹介します。

 


 

田中 達也(たなか・たつや)さん

1984年 兵庫県尼崎市に生まれる
2007年 日展 入選(同8、10、11、17~19年、21年無鑑査、20、22年特選)
2009年 宝塚造形芸術大学大学院修士課程修了
     日春展 入選(同12、14、16~18、22年、13、19、21年奨励賞)
2021年 京都 日本画新展(美術館「えき」KYOTO)
     飛騨高山臥龍桜日本画大賞展 奨励賞(岐阜県美術館、高山市民文化会館/岐阜)

現在 日展会友、新日春会会員、京都日本画家協会会員、兵庫県日本画家連盟理事

 

◉出品作品

「痕跡」

<本展出品作について作家より>

地元兵庫の高架下の壁や工場の壁を主軸に作品を創り上げていった。当初描き進めていたものに疑問を持ち、完成間近のものを潰し再構成し、新たに積み上げていった。そこには単純な抽象表現ではない写生で感じたものを創るということ、そして自身のテーマでもある「構成と蓄積」を意識した制作ができたと思っている。

 


=制作風景=

①~②にかけては当初、神戸市街の高架下にある③の場所、色などをイメージし写生したさまざまな壁とを組み合わせて制作を行っていましたが、作品を描きながらも思うようにいかず、また場所から感じるものも表現しきれず、ここから一度完成までもっていった作品をつぶし込みました。

①作品下地(修正前)

②作品途中(修正前)

③題材(修正前)=神戸・春日野道駅=

思い返してみると、最初気持ちが乗り切らずにいたのは、近年老朽化にともなう壁の改修工事などが頻繁にこの高架下(神戸の王子動物園~須磨駅まで)でも行われていて、また描きたいと取材にいくと、シートがかぶせられていてせっかくの場所が見えず、思うように取材が進められなかったのも要因の一つでした。

そこから再度、作品を再構築していった過程が上の④と⑤になります。その時に参考にしたのが⑥、⑦の場所や雰囲気です。

④作品途中(修正後)

⑤作品仕上げ段階(修正後)

⑥題材=神戸・兵庫駅近辺=

⑦題材=神戸・高架下=

作品全体を通して、固定の場所を描いているというよりは、写生から生まれたものや感じたもの、それらを合わせて自身のもつテーマである[構成と蓄積]を念頭に置き、作品に仕上げました。今回の作品は壁を描きそこを潰し、また新たに壁を再構築していく。その時につくられた傷や筆跡を痕跡として画面に刻みこんでいったので最終的にそのままタイトルとしました。