「京都 日本画新展」出品作家関連 作品展のご案内=22=

「京都 日本画新展」出品作家関連 作品展のご案内=22=

Silence | 石橋志郎

大阪谷町の+1artにて、「京都 日本画新展2021」大賞を受賞された石橋志郎さんの個展が開催されます。

『Silence』をテーマに、横約3mの作品も含めた新作6点を展示予定。

ぜひお運びください!

石橋志郎展
「Silence」

会期|2023年10月18日(水)~10月29日(日)
時間|12:00~19:00 (最終日は17:00まで)
※月曜・火曜は休廊
会場|+1art(大阪市中央区谷町6-4-40)
tel:06-7712-6685
http://www.plus1art.jp


 

Silence
平田剛志(美術批評)

光や雲を見るようだ。石橋志郎の白と灰色の絵画は、画面に吸い込まれるような広がりと奥行きある静かな画面が特徴だ。その理由は、画材である天然の鉱物や貝殻を砕いた岩絵具や胡粉のもつ「自然」の性質にある。顔料は、種類や和紙、温度や湿度、空気、描画の工程によって色味や見え方が変わる。顔料は生きた自然素材であり、絵画は環境的な存在なのだ。

本展のタイトル「Silence」で思い浮かぶのは、『4分33秒』など、音楽に自然音や環境音という概念を導入したジョン・ケージである。ケージは環境や空間にある音を通じて、Silenceの豊かさ、音の現前性や偶然性、聴覚の認識を広げた。

一方、石橋の絵画はジョン・ケージの「サイレンス」やブライアン・イーノが提唱したアンビエント・ミュージックにも通じるような環境や自然を含んだ絵画経験をもたらす。絵画の色や光は場所の天候や時間、視点によって変容する。鑑賞者は空間に響く微細な音に耳を傾けるように、空間に響く絵画の色や光の現象を見るだろう。それは絵画や顔料の探究というだけではない。画像や映像が溢れた現代において、生きている絵画と出会うその場限りの出来事でもあるのだ。