【開催報告】出品作家によるギャラリートークを開催③

【開催報告】出品作家によるギャラリートークを開催③

2月1日(土)14時から展覧会場内で、出品作家によるギャラリートークを開催しました。
受賞作家を含む8人の作家が来場者に直接、それぞれ自身の作品への想いを語りました。


「ゆらめくみち」で奨励賞・京都府知事賞を受賞した阿部瑞樹さんは、「結露や水滴越しの風景を描いてきたが、今回は大原三千院の池の感じと、『止まれ』と書いてある道路を組み合わせて、文字が歪んでいるのを表現した」と制作の意図を教えてくれました。


同じく奨励賞・京都市長賞を受賞した山本雄教さんは、「真っ白な画面の作品で遠くから見ると何もないように見える。近づいてみると何かが描いてあって、一度認識するともう一度離れたときにに、もやもやとした気配を感じるようになる。作品名の『White noise』はいろんな周波数の音がすべて出ている雑音という意味で、この絵もいろんな人が読み取れるものを描きたいと思った。紙というものに魅かれていて、今回はフラットな画面に表現したかったので、機械摺りの鳥の子紙を使った」と制作に至る経緯を語りました。


同じく奨励賞・商工会議所会頭賞の森萌衣さんの「追慕」を描くにあたっての想いを「花や動物ではない人工物にも愛着を持っていて、作品中に散らばっている紙、伝票や新聞も私にとって大事なもの。友人を自宅に招いてモデルをやってもらい、鏡の世界と絵の世界をリンクさせないように表現した。」と説明しました。


青木香織さんは自作「つむぐ」について、「人間の移ろいゆく心を、雲ひとつない青空に白い月をモチーフに丸い画面に描いて、人間の静かに佇む心の姿を表現した。」と解説。


「ゆだねる」を描いた滝村彩子さんは、「水をキーワードに透明な空気感を感じ取れるような作品をつくりたくて、画面と向き合って、自分が溶け込んでいくような感覚で描いている。画面と一体になるイメージ。線を描くときは筆を立てて骨を入れるという気持ち、色を置くときは水分量を気にして自然としみこんでいく感じを大事にしている。技術面でもそういった自然なものにゆだねる何かをイメージしている。」と語りました。


北川花純さんは、「私は夜型人間で夜中の2時とか3時に大通りを歩いていると、しんとして静かな時間に出会う。黄色い点滅信号とか、ぽつぽつと街灯がついていたりとか、そういったものを『静』という作品に描いた。朝と夜のギャップを感じながら、静けさの中にいる安心感や落ち着いた気持ちを表現した。モチーフは自画像で隣にムクゲを描いた。絹本を用いて裏から描いて発色させる技法で、やわらかさや自然の繊細さを表現した」と説明しました。


「Yardinet~萩の詩~」を描いた田中翔子さんは、「家の庭に萩が植わっていて、綺麗な枝葉が伸びてくると生命力を感じる。そして綺麗な花を咲かせて楽しませてくれる。これまでの作品と少し考えが変わって、改めて落ち着いて親しみ深い萩を見て、落ち着いたイメージを大事にしようと思った。モチーフである萩と私は今は友人関係、これからもっと深い関係になれるように描いていきたい」と、今後も続く公募展への意欲を見せました。


「大山椒魚と」を描いた及川美沙さんは、「京都日本画新展なので、“京都”について考えた。ぼこぼこしているのはマチエールという技法。長谷川等伯の松林図屏風を見て、京都の湿気を含んだような感じが日本画らしいな、と思った。今回の作品は大山椒魚のぷにぷにしたイメージとざらっとしたイメージをそれぞれ墨と岩絵具で表現した。大山椒魚は実は目があまり見えていなくて、近くに別の魚がいても共存している。作品名の『と』は他者との関係性を示したもの」と自作への思いを語りました。


作家自らが解説するギャラリートークに、多くの来場者が参加し、ギャラリートーク終了後も個別に作品について質問を聞いたりしてい