2022京都&滋賀 注目の展覧会③

2022京都&滋賀 注目の展覧会③

2022年の注目の展覧会を開幕日順に紹介します。第3弾で紹介するのは、4月以降開幕の展覧会です。


◇「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO 
 4月~6月(予定) 京都中央信用金庫 旧厚生センター 
※6月~8月に延期になりました

写真:セシリー・イーノ

世界の現代音楽・ポップミュージックシーンにおけるレジェンド、ブライアン・イーノ。
デヴィッド・ボウイやU2、コールドプレイなどの代表作を共作・プロデュースしたことで知られています。このたび、ヴィジュアル・アートのパイオニアとして知られる彼が提唱したアンビエント・ミュージックを体感できる展覧会を開催します。
二度と同じ組み合わせが生まれない「音と映像の万華鏡」作品や、タイタニック号沈没事件からインスパイアされた音の物語を展開する立体音響作品など、音と光によるインスタレーション展です。
本展を通して、ポストコロナ時代に新たな価値観や音楽の意義を考えるきっかけとなるでしょう。

戦国時代の近江・京都‐六角氏だってすごかった!!
 4月23日~6月5日 滋賀県立安土城考古博物館

《桑実寺縁起絵巻》1532(天文元)年 桑實寺蔵

戦国時代を舞台にした小説やドラマなどで、六角氏について語られることがほぼないように、近江国の守護を400年にわたって務め、「日本五大山城」に数えられる巨大な観音寺城を拠点にした近江源氏佐々木氏の惣領家六角氏の実力は、ほとんど知られていません。
信長上洛から遡る70年ほどの間、六角氏は室町幕府内でも有力な守護大名家の一つでした。
ある時は将軍親征を受けるほどの軍事力を持ち、ある時は政争で京都を追われていた足利将軍を保護し、京都で覇権を争う三好長慶や管領細川氏と対等に渡り合う政治力を振るっていました。
本展では、この六角氏が輝いていた時代―六角高頼・定頼・義賢の代を取り上げ、知られざる近江の歴史を広く紹介します。

◇春季特別展「ブッダのお弟子さん -教えをつなぐ物語-」

 4月23日~6月19日 龍谷大学 龍谷ミュージアム

重要文化財《十六羅漢像のうち第二迦諾迦伐蹉尊者》 元時代 愛知・妙興寺蔵 ※画像提供:一宮市博物館

2020年に中止となった同展。一部作品を新たにこの春開催します。
紀元前5世紀頃、ブッダとなって仏教教団を誕生させたガウタマ・シッダールタ(釈尊)は、当時のインド社会にその思想を広く説きました。
本展では、ブッダを支え最も活躍した10人の直弟子(十大弟子)や、涅槃時に後を任された16人の高弟(十六羅漢)をはじめ、ブッダの生涯の物語に登場する、様々な人物に焦点を当て、アジア各地で制作された絵画・彫刻を通して、彼らの個性や特徴的なエピソードを紹介します。
※期間中、作品保護のため展示替えあり

◇「生誕150年 山本春挙展
 4月23日~6月19日 滋賀県立美術館

山元春挙《しぐれ来る瀞峡》 1931(昭和6)年 滋賀県立美術館蔵

京都画壇を代表する画家のひとりである山元春挙は、1872年に滋賀県膳所町(現・大津市)に生まれました。
本展は、春挙が生誕150年を迎えることを記念し、その画業を一望します。
四条円山派の流れをくむ野村文挙に師事し、独自の画風を確立した山元春挙。
円山派の写生を踏まえた華麗な風景画の名作を数多く生み出しました。
国内外の博覧会などで活躍し、その多くが宮内庁御用画となったことも注目に値します。
明治から昭和にかけて、竹内栖鳳とともに京都画壇の二大勢力となり、画壇の近代化に貢献しました。
これまであまり振り返る機会がなかった近代日本画を創造した一人の画家の世界を、滋賀県立美術館の所蔵品を中心に新たな知見を加えて紹介します。

◇「アンディ・ウォーホル・キョウト/ANDY WARHOL KYOTO
 9月17日~23年2月12日 京都市京セラ美術館・新館東山キューブ

アンディ・ウォーホル 《三つのマリリン》 1962年 アンディ・ウォーホル美術館蔵
 ©The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Artists Rights Society (ARS), New York

ポップ・アートの旗手として、アメリカ大量消費社会の光と影を描いたアンディ・ウォーホルの大回顧展が開催されます。
本展はアンディ・ウォーホル美術館所蔵作品のみで構成される日本初の展覧会であり、展示される作品は、マリリンモンローを描いた「三つのマリリン」や、大型作品「最後の晩餐」など、日本初公開100点以上を含む約200点が来日します。
また1956年に来日したウォーホルが京都を訪れた際に描いた貴重なスケッチや、京都から影響を受けたとされる作品群も展示され、若き日のウォーホルの心をとらえた京都の姿にも迫ります。
初期から晩年の作品を網羅する本展は、京都のみでの開催となります。ぜひこの機会にご覧ください。

◇「木島櫻谷ー旅・風景・山水(仮)」 11月3日~12月18日 泉屋博古館

木島櫻谷 《幽渓秋色》 大正時代 泉屋博古館東京蔵

日本画家、木島櫻谷(1877-1938)は近代の京都画壇を代表する存在として近年再評価が進んでいます。
動物画で知られる彼が、生涯山水画をも描き続けたことも見逃せません。
日々出掛けた京都近郊から毎年の旅行まで、青年時代に日本各地の風景を写生した成果は、西洋画の空間感覚をも取り入れた近代的で雄大な山水画を切り拓くこととなりました。
一方、幼い頃より漢詩に親しみ、また中国や日本の古画を愛した彼は、次第に中華文人の理想世界を日本の風景に移し替えたような、親しみやすい新感覚の山水表現に至ります。
展覧会では生涯の多彩な山水画を一望しながら、風景スケッチやコレクションした絵画もあわせて紹介し、根底にあり続けた心の風景を探ります。