2022京都&滋賀 注目の展覧会②

2022京都&滋賀 注目の展覧会②

2022年の注目の展覧会を開幕日順に紹介します。第2弾で紹介するのは、2月・3月に開幕する展覧会です。


◇「細見コレクションの漆芸 根来 NEGOROー朱と黒のかたちー」
2月10日~4月10日 細見美術館

亀甲文瓶子 室町時代 細見美術館蔵

実用から生まれた漆器「根来」。
中世に紀州・根来寺で作られた飲食器や什器に始まるとされる根来塗は、用途に適した簡潔なフォルム、長年の使用に耐えうる堅牢な造り、明快な色彩(朱と黒)が特徴となっています。
また、使用を重ねることで現れる味わい深い塗肌の景色は、華やかな蒔絵とは対極を成す漆芸の美として多くの数寄者の心をとらえてきました。
本展では、細見コレクションの創始者である初代古香庵(1901~79)が、自ら『根来の美』(1966年)を著すほど情熱を傾け蒐集した根来を一堂に紹介します。

一般1,300円 学生1,000円

◇「京都 日本画新展2022」
 2月11日~20日 美術館「えき」KYOTO

大賞 野上徹《ゆらぎの光景》

若手日本画家の創作活動を奨励する「京都 日本画新展」は、2008年に創設され、今年で14回目を迎えます。
本展では、昨年11月の選考会で大賞に輝いた野上徹さんの「ゆらぎの光景」や、優秀賞に選ばれた沈楠(しんなん)さんの「松明(たいまつ)・余煙(よえん)」、三谷佳典さんの「夜の隙間」をはじめ、20~40歳代までの若手作家による力作33点を展示します。
 また本展の推薦委員を務める日本画家の新作なども併せて発表します。
これからの京都画壇を担う若き作家たちによる、創造性あふれる力作をご覧ください。

入場無料

◇「ARTISTSʼ FAIR KYOTO 2022」
 (メイン会場)3月5日・6日 京都文化博物館・京都新聞ビル地下1階 (清水寺会場)3月5日~13日 清水寺

写真:前端紗季

アーティスト主導で開催されるアートフェア「ARTISTSʼ FAIR KYOTO 2022」。
今年で5回目を数える本展は、これまでのアートフェアの枠組みを超えたフェアとして、次世代のアーティストが世に羽ばたくきっかけ作りとして、また来場者とアーティストのコミュニケーションの場として注目を集めてきました。
ペインティングからテクノロジーを駆使したインスタレーションまで総勢46組による多種多様な表現をお楽しみください。
また今年新たに宮島達男氏を迎えた、若手アーティストを推薦するアーティスト「アドバイザリーボード」による展覧会として、世界遺産である清水寺を舞台に、14組の代表作や新作が展示されます。
若手の作品に加え、国際的に注目を集めるアーティストの作品もお楽しみください。

◇「王朝文化への憧れ―雅への系譜」
 Ⅰ期 3月20日~5月15日 Ⅱ期 5月22日~7月18日 相国寺承天閣美術館

重要文化財《佐竹本三十六歌仙絵 断簡 源公忠》藤原信実筆 後京極良経書 相国寺蔵 ※Ⅰ期展示

江戸時代に京都で復興した王朝文化の世界を堪能できる展観を開催します。
貴族文化が花開いた平安時代のみやびに江戸時代の人びとは強いあこがれを抱いていました。
その憧れの世界が描かれた代表的な王朝文学として『伊勢物語』や『源氏物語』の屏風絵が作られています。
また相国寺は、和歌史に名を残す藤原定家としてゆかりの寺宝を有するほか、桂離宮や古今伝授で知られる有名な八条宮智仁親王の菩提寺として宮家ゆかりの寺宝が多く伝来しています。
本展観では、重要文化財を含む相国寺に伝わる寺宝を中心に、江戸時代に描かれた伊勢・源氏の屏風絵や、江戸時代の公家の和歌、絵画の数々を紹介します。

一般800円 65歳以上・大学生600円 中高生300円 小学生200円

京都市京セラ美術館開館1周年記念展「森村泰昌-ワタシの迷宮劇場」
 3月12日~6月5日 京都市京セラ美術館・新館東山キューブ

森村泰昌「ワタシの迷宮劇場」シリーズより 1984‒ © Yasumasa Morimura

1970年代に京都市立芸術大学で学び、日本を代表する現代美術家の一人となった森村泰昌の大規模個展を開催します。
美術史における名画の登場人物や歴史上の人物、女優に扮するセルフポートレートを制作することで、ジェンダーや人種を含んだ個人のアイデンティティの多重性を視覚化し、個人史と歴史の交錯点を表現してきました。
本展では、これまでほとんど発表されることのなかった、秘蔵のインスタント写真約800 点に加え、1994 年に森村が自作の小説を自ら朗読したCD《顔》の音源をもとに、展示室に特設の音響空間をしつらえ、朗読劇として再制作しました。
また、建築家・西澤徹夫とのコラボレーションにより、会場は「迷宮劇場」へと変貌します。

◇日中国交正常化50周年記念「兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~」
 3月25日~5月22日 京都市京セラ美術館・本館北回廊2階

右から 立射武士俑/鎧甲軍吏俑/戦服将軍俑/鎧甲武士俑/跪射武士射 すべて秦時代・前3世紀 秦始皇帝陵博物院蔵

生きた人間の姿を木や土に写し取ったものを俑(よう)といい、古代中国の人々は死後の世界で被葬者を守るために埋葬した遺体に添えました。
1974年に偶然発見された秦始皇帝陵の兵馬俑は、約8000体と推計されています。
本展では、秦漢両帝国の中心地域である関中(現在の陝西省)の出土品を中心に、日本初出の一級文物を含めた約200点を一堂に展示。
戦国時代の極小の騎馬俑が、なぜ始皇帝陵の等身大の大きな兵馬俑となり、また漢代皇帝陵ではなぜ小さな兵馬俑になったのか歴史の不思議を紐解きます。2022年、1972年の日中国交正常化宣言から50周年を迎えるのを記念し、京都から開幕されます。