「漆軒と印象 明治生まれの堂本兄弟・うるしと日本画の競演」を好評開催中の京都府立堂本印象美術館では、
「京都現代作家展vol.10 渡辺信喜 中国の旅 素描」も同時開催中。
その様子をご紹介します。
京都を拠点に活動する現代の作家を紹介する「京都現代作家展」。
その第10弾になる本展では、日展・横の会で活躍する日本画家・渡辺信喜先生を紹介。
「中国の旅 素描」と題して、渡辺先生が訪中時に描いたスケッチ作品を展示しています。
普段は花木を描かれることが多い渡辺先生ですが、
本展では風景や建築、人物、仏像などさまざまなモチーフのスケッチが並びます。
3月2日(土)には、イベント「作品を語る」も開かれました。
1980年に初めて中国を訪れて以降、14~15回は訪中しているという渡辺先生。
「南の方では、北の方よりも少数民族が多く、着ている民族衣装がそれぞれ異なっていて面白い」
「昼間は景色をスケッチして、夜は宿の従業員に民族衣装を着て、モデルになってもらったのを描いた」
「出品作にもある火焔山は夕日をあびると燃えたように真っ赤になるのが印象的だった。
火焔山のスケッチは、そこの土を絵具の中に混ぜて描いている」
「あまり大荷物にはしたくないので、画材は折り畳みの画板、最大で四つ切までの紙、
HB・2B・3Bの鉛筆数本、12色色鉛筆、コンテくらいしか持っていかない。スケッチを描く時間は30分程度」
などなど、旅先で撮影した写真とあわせながら、旅と作品の思い出をお話してくださいました。
本展で紹介しているスケッチ作品はすべて今回が初公開。
渡辺先生の普段とは異なる作品が見られる貴重な機会は、3月17日まで。
「漆軒と印象 明治生まれの堂本兄弟・うるしと日本画の競演」と合わせて、お楽しみください。
<渡辺信喜先生 プロフィール>
1941年 京都市生まれ
1964年に京都市立美術大学日本画科を卒業し、その後山口華楊に師事。
日展・横の会を中心に活躍し、現在は日展理事、京都精華大学名誉教授。