●関西学院大学大学院修士2回生 相田莉央さん
江戸時代の慶長裂や桃山時代の辻が花など、染織史を学ぶ上で重要な作品から、古裂切付というユニークな技術が施された作品まで、多種多様な齋藤コレクションを拝見することができました。野を駆ける兎や気を吐く熊などの動物は、非常に躍動感があり、印象的でした。
「熊文蛮絵(鎌倉時代 13世紀)」
<私のおススメ!> 裂手鑑 太子間道(きれてかがみ たいしかんとう) 明 16世紀 小さなサイズ感とレトロな色彩が可愛い。欲しい!と思える作品でした。 自分でも裂を集めて作ってみたいですね。 |
●関西学院大学大学院博士3回生 樋口温子さん
中国の古裂に織りだされた兎の文様に躍動感があって可愛らしく、印象的でした。「当時の中国では野をかける兎が一般的にみられたのかな?」などと、その時代の文化を、文様から想像するのが楽しかったです。
「花兎文金欄(元 13~14世紀)」
<私のおススメ!> 檜垣に藤菊文辻が花染(ひがきにふじきくもんつじがはなぞめ) 桃山時代 16世紀 辻が花の中でも完成度の高い作品。細い墨書きの線や丁寧な絞りから優れた技術がうかがえます。この作品の完成度が高いからこそ、他の辻が花作品のつたなくも見える表現がより愛しく感じます。 |
●関西学院大学大学博物館学芸員(元河上ゼミ生) 髙木香奈子さん
形を失っても面白いのはなぜ? 遺った古裂の形を見ると、何に使われたものなのか、どうやって使ったものなのか、わかることがあります。
暖簾のような形の裂が二枚、円形の裂が一枚遺っているのは仕覆として使われた証拠。細く切り刻まれているのは表具として使われたものでしょうか。
大事に使われてきた古裂の足跡を辿るのは面白いです。
<私のおススメ!> 二十四孝文慶長裂(にじゅうしこうもんけいちょうぎれ) 江戸時代 17世紀 もともとは一領の小袖から分かれた裂が、齋藤コレクションによって再会しました。 ストーリーが描かれた文様は珍しく、見応えがあります。 |