アンスティチュ・フランセ関西の文化プログラム主任 ベアトリス・オルヌさんに聞く「京都の可能性」【後編】

―伝統的な芸術と現代的なアートの可能性についてどう思いますか
本来アートに区別は必要なく、結果をみて、結果が芸術であるかどうか大切なのです。伝統的な芸術と現代的なアートの出会いというのは京都において特に重要です。伝統的なものから、現代的なアートを生み出すことはできると感じていますし、うまく融合すれば素晴らしい作品が出来ると思います。京都のように歴史的で、伝統文化を大切にしている街は特に現代的なアートに対してオープンであるべきです。

例えばパリの郊外にあるセーブル陶磁器の製作所では、現代的なアーティストを招き、職人とともに、コンテンポラリーな陶器を作ってもらう取り組みを行っています。

ただ、伝統的な芸術と現代的なアートを併せて展示する際には、観た人が分かりやすく納得できるような工夫が必要です。昨年、京都国立近代美術館で開催された「ヴァンクリーフ&アーペル」展は素晴らしい展示でした。ヴァンクリーフ&アーペルの歴史を辿りながら、日本の伝統工芸が職人に与えた影響や、お互いの作品が鏡やエコーのように響き合っている様子が観て感じられました。

―京都―パリ姉妹都市提携60周年に向けて
いよいよ節目の年に入り、各所で交流をテーマにした舞台や講演会などが催されていますが、アンスティチュ・フランセ関西では特に、日仏の関係性を築くことに焦点を当てたいと思っています。フランスの人と日本の人が、文化的な環境の中で出会い交流する場を作ることをより大事にしたいのです。出会いの場はさまざまな状況が想像されますが、大事なのは日本の人たちに、フランスの文化に対して好奇心を持ってもらい、60~80年代のフランスではなく、今のフランスを知ってもらうことだと思っています。さまざまなプログラムも用意していますので、この機会にぜひご参加ください。

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