【イベントレポート】おはよう近代日本画@福田美術館

福田美術館特別イベント「おはよう近代日本画」

貸切状態の美術館で担当学芸員の解説を聞きながら現在開催中の「日本画革命-魁夷・又造ら近代日本画の旗手」展を鑑賞できる特別なイベントが開催されました。
イベントの様子をお届けします。
 

日時:2023年3月19日 9:00~10:00
講師:森田 佑弥氏(福田美術館・本展担当学芸員)


【第1展示室】
明治期から戦前頃の画家を紹介する第1展示室。
入ってすぐに展示されているのは横山大観と菱田春草の作品です。
どこが「日本画革命」なのかというと、輪郭線を描き込まずに表現する「朦朧体」を生み出したことで、
あえて線を描かないことで光や空気感を表現できないか、模索したということです。

また京都と東京で「革命」はどう異なるか、展示室に並ぶ作品を鑑賞しながら解説されました。
ここでは京都画壇の山口華楊の《待春》を例に挙げ、「ウサギを干支として描かず、自然の営みの1シーンとして描くところに革命があった」ということです。


山口華楊《待春》

【第2展示室】
2階の第2展示室は戦後活躍した東山魁夷、加山又造の作品が陳列されています。
戦後に起こった「日本が戦争に負けたのは弱弱しい日本画を描いているからだ!もっと西洋的な強い画を描かないと」という「日本画滅亡論」が起こり、
戦後の画家たちは絵の具を塗り重ねて強い色で表現することを追い求めました。


東山魁夷《コペンハーゲンの街・デンマーク》を前に解説する森田氏

 
(左)東山魁夷《緑の朝》/(右)東山魁夷《春来る湖》


本展のタイトルである「日本画革命」。参加者からも「当時の革命は美術に興味がある人にしかわからなかったのではないか?」という質問が出ました。
森田氏は「おそらくそうだった」しかし展示作品の中には「今見ても斬新な構図だと思う」ものもあると。現代人が見ても「斬新」と思う、ということは当時作品を見た人々は衝撃を受けたのではないでしょうか。

「今回陳列している額装作品は、可能な限りアクリル板を外し、反射などを極力抑えてみてもらえるように」されています。
ぜひ実際に作品を見て、日本画の歴史を感じてください。