「槙鹿蒔絵料紙箱・硯箱」~光悦作「山月蒔絵螺旋料紙箱」に思う

「槙鹿蒔絵料紙箱・硯箱」~光悦作「山月蒔絵螺旋料紙箱」に思う

永田友治の最も有名で豪華な作品。それが槙⿅蒔絵螺鈿料紙箱・硯箱」です。

槙鹿蒔絵螺鈿料紙箱・硯箱
江戸時代 18世紀 京都国立博物館蔵

料紙箱には土坡(どは)に槙の木と意匠化された鹿が、硯箱には流水と鹿が螺鈿、鉛金貝、薄い高蒔絵で表され、土坡は「友治上げ(ゆうじあげ)」により一段高く、流水は逆に一段低く作られています。

本品の隣に「特別出品」として、ある作品が展示されています。




山月蒔絵螺鈿料紙箱 伝本阿弥光悦作
江戸時代 17世紀 MIHO MUSEUM蔵

本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)1558-1637
俵屋宗達とともに琳派の創始者と言われる。書画・漆芸・陶芸に優れ、友治より約100年さかのぼる時代に京都鷹ヶ峯を拠点に活躍。

夜または木陰を背景に、木と二頭の鹿を配する構図、簡素化したディテール、鮮やかな色使いなど非常に類似しています。
光悦に私淑していた尾形光琳。光琳を慕う友治。
友治がこの様な光悦の作品に影響を受けたのかもしれません。

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次回は、友治の作銘に迫ります。

槙⿅蒔絵螺鈿料紙箱・硯箱。どちらの裏面にもあるこちらの号と印。
尾形光琳の後継者と言われる所以がここにもあります。