明治150年展の“ココ”に注目<鳥-Bird->

明治150年展の“ココ”に注目<鳥-Bird->

近代化していく社会の中で生み出された明治の美術品を紹介する「明治150年展 明治の日本画と工芸」。日本画や工芸図案に、お皿・花瓶・飾り棚・置物といった工芸品など様々なジャンルの作品が出品されていますが、この特集では用いられたモチーフに焦点をあて出品作品をご紹介します。今回は「鳥」をモチーフにした出品作品をピックアップしました。


つぶらな瞳が愛らしいガチョウを描いた作品。
赤や黄緑色の葉に囲まれてガチョウの羽毛の白さが一層際立ち、美しいコントラストとなっています。
しかし愛らしいだけではなく、クチバシにのこぎりのような鋭いギザギザの歯が描きこまれるなど、対象をしっかり観察して描かれたことが分かります。


交差した煙管(キセル)の周りに刀の鍔が散らされるという変わった意匠が施された箪笥です。
刀の鍔のデザインとしてオシドリやオウムなどが、芝山細工と呼ばれる技法で貝殻やサンゴ・象牙などが漆器にはめ込まれており、立体的に表現されています。
扉の内側と中の引き出し部分には金蒔絵装飾。植物や飛び交う小鳥が繊細に表現されており、優美な印象を受けます。
意匠に芝山細工、金蒔絵と見どころ盛りだくさんな一品なのでぜひ実物をご覧になってください。
 

この他にも、まるで絵本のワンシーンのようにフクロウと小鳥が木の枝の上を行進する様子を高浮彫と呼ばれる技法で花瓶に装飾した宮川香山(初代)「高浮彫梟花瓶」や、透明感のある桜の花と墨色のカラスの対比が美しい菊池芳文「桜花群鴉図」なども鳥が魅力的に表現されています。

他にも「鳥」をモチーフにした作品は多数出品されています。鳥好きの方は必見ですよ!
みなさまもそれぞれの楽しみ方で「明治150年展 明治の日本画と工芸」をご覧ください。


<さらに注目!>

京都国立近代美術館で同時開催されている「平成30年度第1回コレクション展」にも鳩の首筋のもふっとした質感がたまらない徳岡神泉「後苑雨後」、素朴な鳥の文様が愛らしい鈴田照次「木版刷更紗着物 とり文」など鳥をモチーフにした作品が出品されています。ぜひ「明治150年展 明治の日本画と工芸」と共にコレクション展もお楽しみください!