明治時代に入ると、政府は殖産興業や輸出振興政策を推進。ウィーン万国博覧会へ明治政府が正式参加したこともあって海外で日本美術の評価が高まり、それを受けて政府は国家戦略として工芸品の輸出に力を注ぎました。一方京都では、地場産業の振興を目的の一つとして京都府画学校が設立されるとともに、多くの日本画家が工芸図案制作に携わりました。
本展では、近代化していく社会の中で生み出された明治の美術品を展示しています。
今回は出品作品のうち、幸野楳嶺作「春秋蛙合戦図」をご紹介します。
つくしやワラビなどの春の植物を手にした蛙と、ススキやホオズキなどの秋の植物を手にした蛙の合戦の様子を描いたユーモラスな日本画作品。
植物を槍のように突き出したり、相撲を取ったり、踏んづけられたり、投げ飛ばされたりとまるで人間のようなしぐさと表情に注目です。
果敢に立ち向かう蛙、後ろから応援する蛙、やられてしまって情けない顔の蛙、個性豊かな蛙たち。あなたの推し蛙を探してみてください。