近代化していく社会の中で生み出された明治の美術品を紹介する「明治150年展 明治の日本画と工芸」。日本画や工芸図案に、お皿・花瓶・飾り棚・置物といった工芸品など様々なジャンルの作品が出品されていますが、この特集では用いられたモチーフに焦点をあて出品作品をご紹介します。今回は春らしい「蝶」をモチーフにした出品作品をピックアップしました。
枝垂桜にとまった小鳥と、飛び交う紋黄蝶を描いた日本画作品。
小鳥と木の墨色、枝垂桜の緑と薄桃色の中で、紋黄蝶の黄色がぱっと目に飛び込んできます。
さらっと描かれた蝶に揺れる枝垂桜が相まって、そよそよと優しい春の風を感じるような軽やかで愛らしい作品です。
(※展示期間:4/22(日)まで)
緑地の中に桜の花と蝶を散らした有線七宝のお皿。
有線七宝とは七宝焼きの技法のひとつで、金属の素地の上に細い線上の金属を文様の輪郭線として貼り付け、釉薬をさして焼き上げたものです。
ガラスのようなつややかさと鮮やかな色彩が魅力的です。
この作品の蝶は色面がはっきりと塗り分けられ、装飾的なデザインになっています。
この作品の下絵も同時に展示されていますが、色の雰囲気などがまた異なるので是非見比べてみてください。
この他にもキアゲハやクロアゲハなど様々な蝶を写実的に描いた「蝶図」が収められた幸野楳嶺/森川曽文の「花鳥昆虫図貼交屏風」(※展示期間:4/22(日)まで)や、金彩の上に繊細なタッチと淡い色彩で絵付けされたお花と蝶が美しい錦光山宗兵衛(七代)の「花鳥図大鉢」など蝶をモチーフにした作品が出品されています。
今回は「明治150年展 明治の日本画と工芸」の出品作品のうち「蝶」に注目して紹介しました。作品鑑賞のスタイルはさまざまです。みなさまもそれぞれの鑑賞の楽しみを探してみてください。