4月7日(土)午後2時より京都国立近代美術館1階講堂にて、講演会「明治の日本画家」が開催されました。
講師は花鳥画で有名な日本画家で、日本芸術院会員の上村淳之先生です。
上村先生は「学生時代は1年生の間は写生ばかりだった。植物やガラスのコップなどをとにかく描いていた」と学生時代の思い出を述べ、「写生は対象のただかたちを写し取ることじゃない。それはただの記録です。対象を見つめ、どういうイメージを対象から感じたか、そこからどういう世界を作り上げるのかということまで考えるのが写生です。写生を重ねることで、自分の胸中に展開している夢想の世界を描き形にすることが日本画の本質です。
“一木一草に神仏が宿る”と日本では言います。自然の中に宿る神秘を見つめて、そこから自分の見た世界、感じた世界を自由に描くことができるのです。しかし、写実的に物事を正確に描く西洋の一神教・キリスト教の世界では制約が多い。天使・ガブリエルを描くときも、神の使いとして人の“見えない”場所から“飛んできた”ことを表現するために翼を描かないといけないのです。日本画では天女は羽がなくても綺麗な衣を着て空を飛ぶことができます。しかし明治時代に入って、西洋文化が日本に流れ込んできたことで、「人は空を飛ぶことができない」という認識が高まり上手に描かれた天女は少なくなってしまいました。
対象を正確に写し取るという西洋の思想は非常に分かりやすく易しいものであったため、日本でも広まりました。その中、日本画家の小野竹喬先生、土田麦僊先生、榊原紫峰先生、村上華岳先生たちはヨーロッパに渡られて学ばれますがやはり「違う」ということで、日本画の精神に立ち返るため「国画創作協会」を立ち上げたのです。」といった内容のお話を語ってくださいました。
貴重なお話をありがとうございました。
また4月28日(土)午後2時にも清水三年坂美術館館長・村田理如氏による講演会「明治工芸に魅せられて」が開催されます。
ご興味のある方はぜひお越しください。