13世紀の日本に登場した抹茶を入れる器は、茶の湯の成立発展とともに大きく変化します。茶の湯で呈される茶が濃茶と薄茶に分化すると、抹茶を入れる器も濃茶器と薄茶器に分化し、主に濃茶では焼き物が、薄茶では塗り物が用いられるようになります。当初中国産の唐物が主流でしたが、茶の湯人口の拡大と、中国での小壺類の生産停止にともない、国産、主に瀬戸地方で茶入が生産され、次第に京都など他の地域でも生産されるようになります。
唐物茶入は15世紀頃から形態による分類が行われていましたが、国産の多くを占めた瀬戸茶入では、生産時期と形態を組み合わせた窯分けと手分けによる分類が行われ、松平不昧(ふまい)が『瀬戸陶器濫觴(らんしょう)』を発刊するにおよび瀬戸茶入の分類法が確立しました。しかし近年瀬戸地方で発掘調査が進展すると、不昧が行った生産時期分類は否定され、瀬戸茶入の多くは17世紀前半に生産されていたことが判明しつつあります。
今回はそうした発掘調査結果を踏まえながら、茶入を唐物・瀬戸・国焼に分け、従来の分類にはこだわらず産地別に展示します。さらに前期は地階展示室にて多種多様の塗り物茶器も陳列しますので、じっくりご鑑賞・お楽しみ下さい。
【主な展示作品】
北野茄子茶入
(通期展示)
高台寺蒔絵棗
(通期展示)
〈前期〉種村肩衝茶入・織部茶入 銘 餓鬼腹・仁清 長肩衝茶入 銘 存命・紹鷗在判大棗・利休大棗・高台寺蒔絵棗・初代中村宗哲作 凡鳥棗・原羊遊斎作 秋虫尽蒔絵棗 等
〈後期〉上杉瓢箪茶入・長谷川文琳茶入・瀬戸茶入 銘 思河・瀬戸茶入 銘 藻塩・利休茶入 銘 地蔵・新兵衛肩衝茶入・北野茄子茶入の次第 等
〈会 期〉前 期: 9月7日(土)~10月20日(日) 〈開館時間〉10:00~16:30(入館は16:00まで) 〈休館日〉毎週月曜日、9月17日、9月24日、10月15日、11月5日 〈入館料〉大人 800円 / 高大生 300円 / 中学生以下 無料 / 団体(20名以上)600円 〈会 場〉野村美術館 〈ホームページ〉https://nomura-museum.or.jp/ 〈主 催〉公益財団法人 野村文華財団 野村美術館 〈後 援〉NHK京都放送局、京都新聞 |
2024年秋季 地階併設展 |
◆茶盌ー深淵をのぞくー 内村慎太郎展
10月26日(土)~11月4日(月)
◆「笈の小文」追うて… 村田浩一郎 茶垸展
11月6日(水)~11月10日(日)
◆歌のかたち 田畑志音展
11月12日(火)~11月24日(日)
◆狂草窯 Le four des ”Herbes folles”
フランス人陶芸家 エマニュエル・アレクシア個展
Exposition d'un potier français Emmanuel ALEXIA
11月26日(火)~12月1日(日)
◆朴相彦 陶磁器展 ー梁山法基里の土でつくるー
12月3日(火)~12月8日(日)
[※各個展最終日は、16:00で終了致します。]