<展示作品紹介(3)>仁清写 葵紋蓬莱絵茶碗 永樂保全造

特別展
家元に伝わる茶の湯の道具(五)

表千家歴代ゆかりの茶碗、服紗

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本展は、表千家歴代ゆかりの茶道具を展観するシリーズの第5弾。今回は「茶碗」「服紗」に焦点を当てご覧いただきます。
出品作品から、その見どころを一部ご紹介いたします。

 


仁清写 葵紋蓬莱絵茶碗
永樂保全造

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天保14(1843)年2月22日、十代吸江斎が徳川治宝より拝領した茶碗です。この時、吸江斎は同じく永樂保全造の葵紋金襴手茶碗(下記図参照)も拝領しました。

永樂家は、十代の了全から茶陶も手掛けるようになります。十一代の保全は紀州徳川家の御庭焼にも携わり、金襴手(きんらんで)、染付、交趾(こうち)などの上品で華麗な陶器を制作し、幕末の名工と言われました。

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葵紋金襴手茶碗 永樂保全造

 

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◆表千家十代 吸江斎
文政元年(1818)~万延元年(1860)
江戸時代後期から幕末にかけての時代、久田家より養子に入り幼くして家元を継いだ。茶堂として仕えた紀州徳川家十代治宝は茶の湯に造詣が深く、了々斎から一時預けられていた皆伝を吸江斎に授けている。

◆永樂家
室町時代末期から土風炉(どぶろ)を制作、江戸時代後期の十代了全から茶陶も手掛けるようになった。そして表千家の茶の湯において、樂茶碗は濃茶、永樂の茶碗は薄茶に用いられるようになる。現在、十八代善五郎に至っている。

◆御庭焼
江戸時代、大名などが居城や藩邸の内に築いた窯で自分の趣向に合わせて焼成した陶磁器。陶工を招き指導にあたらせることも。
徳川治宝は隠居所の西浜御殿で偕楽園焼を行った。

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家元に代々伝わる貴重な茶道具の数々をぜひお見逃しなく!

 


 

特別展
家元に伝わる茶の湯の道具(五)
 表千家歴代ゆかりの茶碗、服紗

会期:2023年10月11日(水) ~ 12月13日(水)
会場:表千家北山会館