古信楽の景色を生み出す焼成の技を、繊細な模様表現へ
この模様を生み出した薪窯の焼成では、薪が燃えて舞い上がる灰をさえぎるために、模様を化粧土でマスキングし、
炎の流れを計算しながら窯詰めをするこの優美なフォルムは、中東の古代の壺からインスピレーションを受けたもの。
穴窯線文手付壺
令和元
高18.8×口径5.3
×幅11.8×奥行11.3×底径4.9
個人蔵
穴窯の中で焼かれる壺が、どの位置にあると炎を受けてどのような景色を生むかを、窯詰めの位置を再現して見せ、当館での個展で多くの人を驚かせた。
小牧は、古信楽に見られるさまざまな窯変を、自らの窯で再現するまでに、薪窯焼成の研鑽を積んだ。
その後、中世の信楽焼への興味を模索しながら、焼成技術を駆使することで規則性のある模様をうつわに映し出すという新たな試みが始まっている。
まずは、ガス窯により大皿に濃淡を浮かび上がらせた幾何学模様を焼き付けた。
2019 年からは薪窯焼成で、燃料の薪の灰を被ることで光を放つように明るく線文を際立たせ、鉄分の多い土を使うことで鮮やかな緋色をまとわせた。
信楽の土と薪窯の焼成をコントロールできる小牧ならではの、新たな焼締めの世界を見せてくれる。
小牧鉄平 KOMAKI, Teppei 1971 茨城県日立市生まれ 1994 京都精華大学陶芸専攻科卒業-信楽の製陶会社勤務 2005 信楽町多羅尾に移り独立-一基目の穴窯を築窯 2006 第35 回日本伝統工芸近畿展 入選-以降、入選12回 2009 第23 回萬古陶磁器コンペ 準グランプリ 2011 二基目の半地下式穴窯を築窯 第40 回日本伝統工芸近畿展 新人奨励賞、第22回秀明文化基金賞 2020 陶美展 奨励賞、第67 回日本伝統工芸展 入選
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