「描かれた“きもの美人”」ギャラリートーク報告vol.5

「描かれた“きもの美人”」ギャラリートーク報告vol.5

美術館「えき」KYOTO(ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)にて「京都市美術館所蔵品展 描かれた“きもの美人”」を好評開催中です!
本展覧会では、2019年度内のリニューアルオープンに向け一部閉館中の京都市美術館が所蔵する数ある作品の中から、日本画を中心に、美しく艶やかに描かれた“きもの美人”約40点をご紹介しています。

1月15日(月)には、京都市美術館学芸課長の山田諭氏によるギャラリートークを開催いたしました。

会場で最初に目に入ってくるのは、菊池契月の《散策》。今年の干支にちなんだ展示で、イヌを連れて歩く女性が描かれています。契月は古典に学んだ歴史人物画を得意としましたが、昭和期には現代の女性を画題とした作品も制作するようになります。「短髪の女性が洋犬と散歩するという、当時とてもモダンであった光景が描かれていますね。モデルは、菊池家にやってきた息子の若嫁といわれています。契月のように身近な人々をモデルに選んで描いた作品は他にも秋野不矩《紅裳》、堂本印象《婦女》など昭和期の作品に多くみられます。近代に入り、多様化していった美人画のモデルに注目するのも面白いかもしれません。」と作品の解説とともに展覧会の見どころもお話しいただきました。

本展覧会で、山田課長のイチオシの美人は西山翠嶂《槿花》。「翠嶂が出会ったマドンナがモデルと伝わる作品です。朝に咲き、夕べには萎んでしまうムクゲの花は儚さの象徴。生成りの着物に身を纏った女性を称えるかのように咲いていますね。僕はこのマドンナに惚れてしまいました。」と山田課長。ぜひ会場へ会いにきてみてください。

続けて、「日本画にはどこかに季節を感じさせる要素が入っています。その要素を探しながら鑑賞するとさらに愉しめますよ。また、菊池契月とその息子の菊池隆志の作品を比べて鑑賞したり、作家の画風の変化に注目しながら、複数の作品を比較して観てみると、新たな発見があるかもしれません。」と最後に本展覧会の鑑賞のポイントを2つ教えてくださいました。

本展の会期は1月21日(日)まで。閉幕まで残りわずかとなりました。
リニューアルオープンに向け閉館中の京都市美術館のコレクションを楽しめるこの機会を絶対にお見逃しなく!!