担当学芸員 おススメの作品 その1「婦人像」

現在、泉屋博古館で開催中の「特別展 生誕151年からの鹿子木孟郎 -不倒の油画道-」。
この近代日本画家の巨匠の約四半世紀ぶりの大規模回顧展で展示される約80点の作品の中から、担当学芸員が特に注目してほしい作品をコメント付きで紹介します。
今回は、ポスタービジュアルでも取り上げられている、この1枚です。

婦人像 




 

鹿子木孟郎《婦人像》 個人蔵

洋室のなかに和服姿で静かに佇む女性を描いた本作は、単なる写実を越えて、女性の精神性や内面の美までも描き出そうとしています。
乱れた室内の様子や、左手に持つ手帳は暗示的であり、鹿子木が観念的な世界へと目を向けていることがうかがえる秀作です。