秋を彩る紅葉が最盛期を迎えた11月25日、東山七条近く、国宝・三十三間堂とその本坊である妙法院門跡で特別拝観が行われました。
この特別拝観は、ダイナースクラブカードを発行している三井住友トラストクラブ株式会社が、秋と春に京都の寺社仏閣を会場として会員限定で実施しているもので、今回は通常、夜間拝観を行っていない三十三間堂をおたずねし、僧侶の解説や声明を楽しむプランが組まれました。
◇見どころ豊富な特別拝観◇
さらに、一般拝観を行っていない妙法院門跡を拝観できる特別プランも用意され、宸殿では僧侶から法話をうかがうこともできました。いずれも、秋の観光シーズンにも関わらず人数限定でゆっくりと秋の京都を堪能できる、大変貴重な機会でした。
◇近世絵画も妙法院の見どころのひとつ◇
妙法院は伝教大師最澄の開山とされ、天皇家とつながりの深い門跡寺院の一つです。まずは、色づいた木々を愛でながら本堂へと歩みを進め、ご本尊にご挨拶させていただきます。お堂の鏡天井は幻の絵師といわれる、調子武音が龍図を描いたそうです。武音は伊藤若冲、円山応挙、池大雅らと並んで活躍したと説明を受け、江戸時代の高い文化がいまに伝わっていると感じました。
続いて、建物の中へと進みます。今回、桃山時代に建てられた国宝の庫裏は修理のため見学できませんでしたが、玄関から大書院へと狩野派の障壁画などを堪能しつつ、当時の華やかな交友の様子に思いをはせました。お庭のモミジは秋の装いとなり、緑の苔や草木との対照が際立ち、今しかない景色を目に焼き付けました。
◇法話もまた貴重な体験に◇
最後に、宸殿で行われた特別法話では、担当いただいた僧侶の大道さんがなぜ在家から仏門に入られたのか、日々の生活に息づく仏法のお話など、わかりやすくお教えいただきました。妙法院とかかわりの深い後白河法皇や豊臣秀吉の話題をはじめ、ご由緒はもちろん、お寺を守られる方からの生の声もお聞きし、妙法院が身近な存在になった気がします。
◇夜の三十三間堂は迫力満点!◇
その後、三十三間堂に移動し夜の貸切拝観へ。三十三間堂は正式名を蓮華王院といい、1164年に建立されるも約80年後に焼失、1266年に再建され現在に至っています。120メートルに及ぶ長いお堂に1001体の観音像がまつられています。これらの観音立像は全てが国宝です。そのほか雷神と風神、観音二十八部衆なども国宝に指定され、その迫力はひとことで表現できないほどです。
夜の三十三間堂は昼間とは全く異なる雰囲気です。夕闇迫るお堂からは光が少し漏れ、その奥に観音さまの姿がうかがえます。堂内に入ると、安置されたお像が光に浮かび上がり、まるでこの世と隔絶された空間が広がっているようです。静かに、一体ずつの観音さまを拝見しながら、平安、鎌倉の時代に、技術の粋を集めて生み出したであろう努力や強い思いなどに意識を奪われました。
中央に鎮座するご本尊、十一面千手千眼観世音の前で僧侶から解説をいただきました。三十三間堂の歴史とともに、観音さまそれぞれの表情やそれに込められた教えなど、参拝の基礎となるお話をお聞きしました。また、幻想的な雰囲気の中、夜間拝観でははじめてという声明の催行も。東の空には月が顔を出し、700年以上も前からつながる歴史の不思議さに、改めて気づかされた一日でした。
【三十三間堂・妙法院で開催された特別拝観の模様は動画でご覧ください】
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