「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
11月のオススメはこちら！

〈きょうとシネマクラブ〉vol.8
特集【ポール・トーマス・アンダーソンにゾッコン夢中！初期傑作選】
ハードエイト

切れ味の鋭い演出が光る天才監督PTAの長編デビュー作。

最新作『ワン・バトル・アフター・アナザー』が絶賛公開中のポール・トーマス・アンダーソン。
世界三大映画祭すべてで監督賞に輝き、オスカーノミネーションは11回という驚異のキャリアを誇る彼は、細部のこだわりから独自の世界観を築く“完璧主義者”としてアメリカ映画界を牽引する存在です。
最新作もすでに2026年度のアカデミー賞最有力という呼び声も高まっています。
今回紹介するのはポール・トーマス・アンダーソンの長編デビュー作『ハードエイト』。
〈きょうとシネマクラブ〉の特集上映【ポール・トーマス・アンダーソンにゾッコン夢中！初期傑作選】、そのなかの１作品として日替わり上映が決定しました！

母親の葬儀代を稼ごうとカジノにやってきたものの有り金をすべて失ってしまった青年ジョン。
そこに、初老のギャンブラー、シドニーが現れます。
彼の窮状を知り、ギャンブルで確実に金を稼ぐ方法を教えてくれると言うのです。
そして2年後、窮地を脱し、一流ギャンブラーへと成長を遂げたジョンは、シドニーを父のように慕っていました。
ところが、友人ジミーの存在がジョンとシドニーの人生に思わぬ波乱を巻き起こします…。
ポール・トーマス・アンダーソンが撮る映画のスタイルは、同じラストネームを持つウェス・アンダーソンのように一貫しているわけではありません。
彼の作品を貫くのは、不完全な人間への肯定的なまなざしというテーマなのだと思います。
なぜシドニーは見知らぬ青年だったジョンに手を差し伸べるのか？その思惑は？といった謎が明らかになるとき、わたしたちは“大人”が抱えるエゴや矛盾、偽善と紙一重の「愛」を前に立ち止まることになります。
それでもアンダーソン監督が描く、不完全な「愛」を肯定する／したいという欲望を潜ませた物語に心を動かされてしまうのです。

特集上映では、『ハードエイト』のほか、長編２作目となった、ポルノ業界の裏側を描いた出世作『ブギーナイツ(無修正版)』、愛の欠如に悩む人々の24時間を力強く描いた『マグノリア』、そして不穏感漂うラブコメ『パンチドランク・ラブ』を上映。
どの作品にもしっかりとPTA流のシグネチャーが刻まれた作品ばかり。
最新作『ワン・バトル・アフター・アナザー』を観たあとに振り返るのにも最適です。
ぜひ11月は京都シネマでお会いしましょう！

執筆：川添結生（京都シネマ）

11月7日(金)公開　
〈きょうとシネマクラブ〉vol.8　特集【ポール・トーマス・アンダーソンにゾッコン夢中！初期傑作選】
ハードエイト
（原題）Hard Eight
1996/アメリカ/101分
監督：ポール・トーマス・アンダーソン
出演：フィリップ・ベイカー・ホール、ジョン・C・ライリー、グウィネス・パルトロー、サミュエル・L・ジャクソン
Images Courtesy of Park Circus/Paramount

特集【ポール・トーマス・アンダーソンにゾッコン夢中！初期傑作選】その他の上映作

ブギーナイツ（※無修正版）（原題）Boogie Nights
1997/アメリカ/155分
監督：ポール・トーマス・アンダーソン
出演：マーク・ウォールバーグ、バート・レイノルズ、ジュリアン・ムーア
Image © 1997 New Line Productions, Inc. Courtesy of Park Circus/Warner Bros.

マグノリア
（原題）Magnolia
1999/アメリカ/187分
監督：ポール・トーマス・アンダーソン
出演：ジェレミー・ブラックマン、トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン
Image courtesy of Park Circus/Warner Bros.

パンチドランク・ラブ
（原題）Punch-Drunk Love
2002/アメリカ/95分
監督：ポール・トーマス・アンダーソン
出演：アダム・サンドラー、エミリー・ワトソン、ルイス・ガスマン
Images Courtesy of Park Circus/Paramount

【上映スケジュール】
11月7日～20日にかけて4作品を日替わり上映！
各作品の上映日・上映時間などの詳細は京都シネマ公式ホームページにてご確認下さい。

京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の３階にあるミニシアターです。
日本をはじめ欧米、アジアなど世界各国の良質な映画を3スクリーンで上映しています。

問い合わせ：075-353-4723
HP：https://www.kyotocinema.jp/