【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 154】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「カップルズ 4Kレストア版」

【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 154】京都シネマSTAFFの今月のオススメ「カップルズ 4Kレストア版」

「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
4月のオススメはこちら!

 

それでも、愛は存在できる?現代社会の行きつく先の悲劇と希望。

映画史に燦然と輝く傑作『牯嶺街少年殺人事件』や遺作『ヤンヤン 夏の思い出』で知られる台湾の名匠エドワード・ヤン監督。
2007年に早すぎる死を迎えたにも関わらず、今もなお新しい視点で作品が発見されつづけています。
『カップルズ』は、急激な経済成長を遂げて多国籍の街となった90年代の台北を舞台に、4人の不良グループとフランスからやってきたひとりの少女の関係、それによる変化を描いた物語。
約30年前の製作とはおもえないほど、現代性を帯びた傑作です。

レッドフィッシュ、ホンコン、トゥースペイスト、そして新人のルンルンは、4人組の青年ギャング団として“アジト”に集い、〈すべてみんなで分け合う〉というルールで行動しています。
リーダー格のレッドフィッシュの指揮のもと、ホンコンは女性をもてあそび、トゥースペイストは通称“リトルブッダ”としてニセ占いでお金を稼いでいます。
彼らがいつものようにハードロックカフェで飲んでいると、イギリス人デザイナーのマーカスを追いかけてフランスから台北にやってきた女性マルトと出会う。
ルンルンがマルトに心を寄せたことをきっかけに、青年ギャング団の関係も変化していき…。

『牯嶺街少年殺人事件』で仲良しグループだったチャン・チェンやワン・チーザン、クー・ユールンが再度同じグループに属する青年たちを演じ、成長した5年後の姿を見れることを嬉しく思うし、『牯嶺街』のあの少年たちの未来の話のようにも感じさせます。
『カップルズ』は、エドワード・ヤン監督の〈新台北3部作〉の第2作にあたり、前作『エドワード・ヤンの恋愛時代』と同様に90年代の台北を舞台にしていますが、コメディタッチの前作と異なり、『カップルズ』では喜劇と悲劇が表裏一体となっています。
利潤が要求される都市の欲望と孤独と暴力の肖像は、滑稽でもあり、悲しみと虚しさが充満しているよう。
それでも、粉々に砕かれたごみ屑のなかからきらりと光る一握りの“愛”のかたちがより一層忘れがたい魅力を放ちます。

執筆:川添結生(京都シネマ)



4月18日(金)公開 
「カップルズ 4Kレストア版」
(原題)麻將
PG12/1996年/台/120分
監督:エドワード・ヤン
出演:ヴィルジニー・ルドワイヤン、クー・ユールン、チャン・チェン、タン・ツォンシェン、ワン・チーザン
©Kailidoscope Pictures
※2K上映

【上映スケジュール】
4月18日~24日 13:55~16:00
終映日未定。 詳細は京都シネマの公式ホームページにてご確認下さい。

★☆関連上映「牯嶺街少年殺人事件」を4月11日(金)より公開 ☆★
「カップルズ 4Kレストア版」の公開を記念して、4月11日(金)からエドワード・ヤン監督作品「牯嶺街少年殺人事件」を京都シネマにて上映。
 詳細は京都シネマの公式ホームページにてご確認下さい。 



京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
日本をはじめ欧米、アジアなど世界各国の良質な映画を3スクリーンで上映しています。

問い合わせ:075-353-4723
HP:https://www.kyotocinema.jp/