【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 127】京都シネマSTAFFの今月のオススメ『フィシスの波文』

【ことしるべおでかけクラブ スタッフおススメスポットvol. 127】京都シネマSTAFFの今月のオススメ『フィシスの波文』

「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
4月のオススメ作品はこちら!

フ ィ シ ス の 波 文

人はなぜ文様を描くのか? 
京都に400年受け継がれる唐紙を起点に、
フィシス(あるがままの自然)を辿る。

 

京都シネマが入っている商業施設「COCON KARASUMA」ビルのファサードには、唐紙の老舗「唐長」に伝わる唐長文様「天平大雲」のパターンがプリントされており、ビルのシンボルマークになっています。
その「唐長」のものづくりを出発点に、古くから現代にいたるまで人と自然の関わりを映してきた「文様」を追いかけたドキュメンタリー『フィシスの波文』が公開されます。
唐紙に注目するエルメスのアーティスティック・ディレクターのピエール=アレクシィ・デュマやミナ・ペルホネンの創設者である皆川明、造形作家の戸村浩ら現代アーティストたちも出演。
デザインに関するドキュメンタリーとしての見ごたえはもちろん、森羅万象への驚き、恐れ、よろこび、やすらぎへと見る者を誘う映像詩を堪能してください。


 

今年で創業400年を迎える、和紙の文様を手摺りする唐紙を継承してきた京都の工房「唐長」
その手仕事の現場から、本作は始まります。
植物文、雲や星を表す天象文、渦巻きや波文などが刻まれた江戸時代の板木に、泥絵具や雲母を載せ、和紙に文様を写していきます。
その反復によって生み出される唐紙の息をのむような美しさ。あるがままの自然のかたち、動き、リズム、色合いなど、文様と自然の「かたち」や「気配」をカメラは丁寧に追っていきます。



この映画は老舗に伝わる手仕事の単なる記録にはとどまりません
茂木監督が握るカメラは、文様楽の第一人者である芸術人類学者の鶴岡真弓に導かれ、周囲に広がる水の波文や風のざわめき、揺らめきから、1,000年以上前より続く祇園祭や葵祭といった祭祀や寺社、茶事の空間までを捉えることで、古くから受け継がれてきたこれらの文様が、自然とわたしたちの精神の相互作用の賜物であり、洋の東西を問わず、太古から私たちとともにあったことを思い起こさせます。
 


 

意匠の源になっている自然のかたちやリズム、色合いや感触、その奥になる言葉では表せない質感や思いを伝える映像と音の中に身を置くことで、京都の狭い工房からはじまる、多層的にひろがる文様世界を巡る旅が目の前に迫ってきます。
時間に追われる現代のわたしたちの世界に対して、わたしたちが忘れてしまった大切な感覚、全人類の古層とのつながりを改めて思い出させてくれるドキュメンタリーです。
 



4月19日公開
『フィシスの波文』

2023年/85分/日本
監督・撮影・編集:茂木綾子
出演:千田堅吉(唐長十一代目 唐紙屋長右衛門)、千田郁子(唐長)
鶴岡真弓(芸術人類学者)、ピエール=アレクシィ・デュマ(エルメス アーティスティック・ディレクター)、戸村 浩(美術家)、皆川 明(ミナ ペルホネン デザイナー)、門別徳司(アイヌ猟師)、貝澤貢男(アイヌ伝統工芸師)ほか
企画・製作・配給:SASSO CO.,LTD.
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会

©︎2023 SASSO CO.,LTD.

詳細・上映スケジュールは京都シネマの公式ホームページにてご確認下さい
フィシスの波文公式ホームページはこちら



京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
日本をはじめ欧米、アジアなど世界各国の良質な映画を3スクリーンで上映しています。

問い合わせ:075-353-4723
HP:https://www.kyotocinema.jp/