「京都シネマSTAFFの今月のオススメ」では、京都シネマで公開される毎月の上映作の中から、
京都シネマスタッフによる一押し作品をご紹介します。
12月のオススメ作品はこちら!
絵画のような映像が彩る、息が止まるほどの鮮烈な恋模様。
かつてない熱狂と陶酔の幕開けは、2019年のカンヌ国際映画祭でした。
『私はロランス』や『Mommy/マミー』で知られるグザヴィエ・ドラン監督や、ハリウッドのトップ女優であるシャーリーズ・セロン、実力派女優として名高いブリー・ラーソンらが絶賛の声を上げ、世界各国の賞レースも席巻した『燃ゆる女の肖像』がついに上映となります。
18世紀の孤島を舞台に、望まぬ結婚を控えた貴族の娘と、彼女の肖像を描く女性画家、ふたりのあいだで燃え上がる恋…。
『アデル、ブルーは熱い色』、『君の名前で僕を呼んで』や『キャロル』、燃え盛る恋の情熱を描いた傑作群に並ぶ愛と追憶のラブストーリーです。
画家のマリアンヌは、ブルターニュの貴婦人から、娘エロイーズの見合いのための肖像画を依頼されます。
しかし、屋敷にやってきて告げられたのは、エロイーズは結婚を拒んでいること、以前の肖像画家には決して顔を見せなかったということ。
マリアンヌは、散歩の相手と偽って彼女に近づき、密かに肖像画を完成させますが、真実を知ったエロイーズは、マリアンヌの作品を否定します。
「わたしに似ていません。」ときっぱり言われてしまうのです。
しかし、意外にもエロイーズはモデルになることを申し出ます。
肖像画を描き上げるまでに残されたのは5日間。
彼女たちと女中のソフィは夜な夜な語り合うようになっていき…。
この物語の背景には、18世紀に多くの女性画家が活躍していたが、男性主義的な美術史によって完全なる匿名性を運命づけられたという歴史が関係しています。
この映画には男がほとんど出てきません。
女と彼女たちの人生、そして炎のような愛だけ。
しかし、彼女たちが人生を語るとき、その人生を運命づけているのはいったい誰なのか。
彼女たちに走ることを禁ずるのは誰なのか。この映画では些細な会話のなかに見えない男たちの影を滑り込ませることに成功しています。
18世紀を生きた彼女たちの憂鬱と歓びの「生」を歴史のなかに溶け込ませながら、現代へ深い愛のメッセージを発するのです。
そばにいることなく、誰かを深く愛することは可能でしょうか。
この映画を観れば、きっとあなたは首を縦に振ることでしょう。
眼差しや唇、微笑み、なにもかもが鮮烈に残る愛の物語。ぜひ劇場で。
執筆:川添結生氏(京都シネマ)
燃ゆる女の肖像
12/4(金)公開
PG12/Portrait de la Jeune Fille en Feu/2019/仏/122分
監督:セリーヌ・シアマ
出演:アデル・エネル、ノミエ・メルラン、ルアナ・バイラミ、ヴァレリア・ゴリノ
公式HP:https://gaga.ne.jp/portrait/
【上映スケジュール】
12月4日~10日 9:35~、13:30~、16:00~、19:45~
12月11日~17日 11:45~、15:45~、17:55~
12月18日~24日 9:40~、19:30~
12月25日~30日 13:30~
※12月30日終了
京都シネマは、四条烏丸にある複合商業施設「COCON烏丸」の3階にあるミニシアターです。
日本をはじめ欧米、アジアなど世界各国の良質な映画を3スクリーンで上映しています。
問い合わせ:075-353-4723
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