GW期間中の5月3日(金・祝)、「絵になる姿―装い上手な少女・婦人・舞妓たち―」の関連イベントとして講演会「写真家が見た<芸・舞妓の美>―花街を撮り続けて45年―」が開催されました。
講師は写真家の溝縁ひろし先生です。
若かりし頃に、信号待ちの最中に偶然通りがかった舞妓さんの姿を見て「まるで京人形が歩いているようだ」と惹きつけられて以来45年間京都の花街を撮り続けてきた溝縁先生が、
花街の魅力や歴史、習慣などについてお話してくださいました。
講演会の様子の一部を紹介します。
会場は満員。先生が撮影された写真がスライドに映し出されます。
「この舞妓さんの写真は何月に撮られたものでしょう?」「この写真の中でお姉さん舞妓はどちらでしょう?」
とクイズを交えながら、和やかに講演が進みます。
花街には独自の行事や風習などが受け継がれてきているので、帯の長さや襟の色、髪型、髪飾り、履物などにもそれぞれ決まりがあって、見る人がみれば年季や季節が写真からでも分かるのだとか。
「花街は季節を大事にしている。季節に合わせて変わる舞妓の花かんざしや、正月の始業式、節分、八朔などの年中行事などの伝統が受け継がれてきているのも魅力の一つです」と溝縁先生は語ります。
京都には、祇園甲部・宮川町・先斗町・上七軒・祇園東の五つの花街(通称:五花街)がありますが、各町でそれぞれ少しずつ風習や行事に違いがあるそうです。
本展のメインビジュアルに用いられている三輪良平「八朔」は、
花街の年中行事の一つで毎年8月1日に行われるあいさつ回り「八朔」の様子を描いたもの。
このような黒の絽の着物を着るのは、五花街の中でも祇園甲部だけなのだそう。
「写真撮影の際にマンネリ化しないよう、変化付けることを意識しています」と溝縁先生。
光の当て方を調整してはんなりとした雰囲気を出したり、多重露光や残像を使って動きや形の面白さを写したりと、
「芸・舞妓の美」を伝えるための写真表現の工夫もお話しくださいました。
他にも花街や芸・舞妓にまつわる様々なお話をお聞かせくださいました。
溝縁先生、ありがとうございました。
展覧会「絵になる姿―装い上手な少女・婦人・舞妓たち―」では、「都をどり」のポスター原画を始め、芸・舞妓をモチーフにした作品が多数出品されています。
是非、美しく描かれた芸・舞妓たちに会いに来てください。
5月19日(日)まで。
「着物の柄の一つ一つがしっかり描かれていて、ポスターになると消えてしまう微妙な凹凸などを原画では見ることができます。」
(談:溝縁先生)
また今回ご講演いただいた溝縁先生の写真展が、5月23日から開催されます。
こちらも併せてお越しください。
溝縁ひろし写真展「芸妓 紗月の月」
会期:5月23日(木)~6月4日(火) ※5月29(水)休館
時間:11時~18時 ※最終日は15時まで
会場:ギャラリー古都
(京都市中京区河原町通蛸薬師東側塩屋町327 京都サクラヤビル6階)
イベント:5月25日(土)14時~ 溝縁先生によるギャラリートーク