見どころ解説③「竹一重切花入 銘園城寺」

見どころ解説③「竹一重切花入 銘園城寺」

『三冊名物記』は、江戸時代中期に編纂された茶道具の名物集。茶入をはじめ、香炉、花入、茶碗、掛物など、三百数十点の茶道具が掲載され、器形を描いた彩色図や詳しい作品情報、道具によっては伝来までもが記載されている画期的な資料です。
茶道資料館学芸員・橘倫子さんに『三冊名物記』と展覧会の見どころを解説していただきます。展覧会をよりお楽しみいただくために、ここで『三冊名物記』の頁を開いてみましょう。
今回ご紹介する見どころは……


今週、展示替えを行い、7日(木)より後期展示が始まりました。
茶道具の付属品(袋、挽家、箱など)をほぼ入れ替え、『三冊名物記』をはじめ、書籍類もページ替えを行っています。呈茶席のお菓子もきんとんに代わり、前期展示をご覧になった方も再度、後期展示を楽しんでいただくことが出来ます。


『三冊名物記』 園城寺花入の項     今日庵文庫蔵

後期展示でのおすすめは、千利休ゆかりの「竹一重切花入 銘園城寺」(東京国立博物館蔵)です。
豊臣秀吉が後北条氏を攻めた小田原の陣で、同行した利休が陣中茶会で用いるために作ったと言われる花入で、利休から息子の少庵に与えられました。現存する「園城寺」を『三冊名物記』の掲載ページとともに展示しています。
利休ゆかりの「南蛮芋頭水指」(永青文庫蔵)や利休の高弟が記した『山上宗二記』(今日庵文庫蔵)とあわせて、是非ご覧下さい。


  南蛮芋頭水指  永青文庫蔵


  『山上宗二記』 今日庵文庫蔵