近代の京都画壇を代表する存在として近年再評価がすすむ日本画家・木島櫻谷(このしま・おうこく1877-1938)。
動物画で名を馳せた彼ですが、生涯山水画を描き続けたことも見逃すことはできません。何よりも写生を重んじた彼は、日々大原や貴船など京都近郊に足を運び、また毎年数週間にわたる旅行で山海の景勝の写生を重ねました。その成果は、西洋画の空間感覚も取り入れた近代的で明澄な山水画を切り拓くこととなりました。一方、幼い頃より漢詩に親しみ、また古画を愛した彼は、次第に中華文人の理想世界を日本の風景に移し替えたような、親しみやすい新感覚の山水表現に至ります。
本展では屏風などの大作から日々を彩るさりげない掛物まで、櫻谷生涯の多彩な山水画をご覧いただき、確かな画技に支えられた詩情豊かな世界をご紹介します。あわせて画家の新鮮な感動を伝える写生帖、収集し手元に置いて愛でた古典絵画や水石も紹介し、櫻谷の根底にあり続けた心の風景を探ります。
【会場】泉屋博古館東京(東京都港区六本木1丁目5番地1号) |
櫻谷の代表作揃い踏み・・・! 櫻谷の代表作として知られる第6回文展に出品作《寒月》(展示期間:6/3-6/18)と、櫻谷芸術のエッセンスが散りばめられた第7回文展出品作《駅路之春》がともに公開!対照的な2点を初めて並べることにより、充実期における櫻谷芸術の高まりと広がりをご覧いただきます。また、東京では初公開となる臨済宗南禅寺の塔頭である南陽院の本堂を飾る襖も展示しています。 |
木島櫻谷《駅路之春》大正2年(1913) 福田美術館蔵
写生帖一挙大公開! ~ひたむきに歩いて描いた青年櫻谷 |
写生帖《芙蓉集一》富士 明治41年(1908) 櫻谷文庫蔵