夏季企画展
曳山を彩る絵師たちⅤ 杉沢春厓
杉沢春厓(すぎさわしゅんがい)(1829年~?)は、江戸時代末期から明治時代にかけて湖北・長浜で活躍した絵師です。
春厓は、文政12年(1829年)に坂田郡下之郷村安福寺(あぶくじ)(長浜市下之郷東町)に生まれ、明治5年(1872年)以降に長浜町片町(長浜市大宮町)へ転居したと考えられています。
没年は不明ですが、作品の落款や当時の行政関係の資料から、明治32~45年の間に没したと推定されます。
絵の手ほどきを受けた師についてはわかっていませんが、残された作品からは幅広い画技を有していたことがわかります。
代表作の一つに、長浜曳山祭の曳山である壽山の舞台障子に描かれた《柘榴小禽図》があり、他にも旧長浜町内や故郷である旧安福寺などに複数の作品が現存しています。
この企画展は、そうした春厓の画業の一端を紹介する展覧会です。
《壽山舞台障子腰襖 柘榴小禽図》大手町組壽山蔵
今回[ことしるべ]読者に向けて、展覧会担当者よりコメントを頂戴しましたので紹介します。
“ 杉沢春厓は江戸時代末期から明治時代にかけて湖北・長浜で活躍した絵師です。
同時代の京都や江戸・東京で活躍した絵師にはたびたび注目が集まりますが、それ以外の地域で活動した絵師へ関心が集まることは少ないと言えます。
春厓は、まさにそうした、いわゆる「地方絵師」と呼ばれる存在です。生まれ育った湖北地域で活動し、絵の修行の為に京都や江戸に出たという記録もありません。
しかし、だからと言って春厓の画技は決して拙いということはなく、作品からは湖北・長浜の文化的土壌の豊かさが感じられます。
本展を通して、湖北・長浜に花開いた文化の一端を感じていただければ幸いです。 ”
《雪景山水図》個人蔵
●夏季企画展 曳山を彩る絵師たちⅤ 杉沢春厓● |