<イベントレポート>
ワークショップ
「修復で使う本物の色を作って遊ぼう」
7月22日(土)・23日(日)に、文化財修復に用いられる日本独自の画材「岩絵具」を使ったワークショップが開催されました!
講師は、国宝・西本願寺唐門の彩色復原を担当した川面美術研究所の皆さん。当日の模様をお届けします。
文化財修復の現場から―――
(川面美術研究所・荒木かおり所長)
美術館や博物館で保存される美術品とは異なり、屋外で千年近くも維持されてきた建造物は、どのように保存されてきたのでしょうか?お寺のお堂、神社の社殿、壁画など、風雨にさらされ劣化も激しい。そういった傷みを修復/復元することが私たちの仕事です。
修復とは、汚れや傷みを取り除き元の姿に戻すこと、復元とは、建立当時の元の美しさに甦らせること。寺や神社などの文化財は人々がお参りに訪れる場所でもあります。宗教建築ならではの極楽浄土を表現した美しい世界観を、いかに再現できるかを重視しながら彩色を施します。
修復・復元には可能な限り完成当時と同じ素材・同じ技法を用います。しかし、詳細な色や素材は肉眼で判断が難しい場合もあり、化学的な解析により素材を判別します。
大切な文化財を保存し後世へ伝えていくために、どのような技術や貴重な素材が用いられているのか。これを機会に皆さんにも知っていただければ幸いです。
実際に岩絵具を使ってみる―――
絵具とは、「顔料」と「固着剤」を合わせたものを指します。一般的なチューブ絵具は、顔料と固着剤がすでに混ぜ合わさったもの。今回使用する「岩絵具」は、天然の素材を用いた伝統的な絵具です。顔料となる貝殻(胡粉)や貴石(ラピスラズリ等)を砕いたものに、固着剤として牛皮を原料にした「膠(にかわ)」を溶きおろし使用します。
乾燥しても、膠を溶き下ろすことで再使用できるのが岩絵具の特徴
粉感がなくなるまで混ぜ合わせる
溶き終わったら、実際に立体物へ着色してみます。チューブ絵具とは全く違う、色ののり方や発色も新鮮です。
日本画らしい色彩
発色を良くするコツは重ね塗り
参加者の皆さん、好きな色を使って思い思いの作品を仕上げられました!
文化財修復に触れる貴重な機会となりました。川面美術研究所の皆さん、ありがとうございました。
会場では、川面美術研究所さんがこれまで手掛けられた修復の事例紹介も。緻密で鮮やかな色彩が目を引きます。
京都の街中に点在する建造物や文化財には、川面美術研究所さんはじめこういった技術者たちの手が欠かせないことも、ぜひ思い起こしてみてください。
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